【えみりインプレッション】コンパクトなキャデラックっていいかも! 300Cはゆったり&右ハンドルが嬉しい!
【 キャデラックATS 】
「キャデラックATSの試乗会がありますが、参加しますか?」
番組プロデューサーからそんな連絡を受けた私は、即答で「ぜひ!」とOKしました。
OKした、なんて上から目線で言ったら、怒られちゃうであろう、高級車キャデラック。
キャデラックと聞いて思い浮かべるのは、アメリカ大統領専用車。そして、ハリウッドセレブが乗る車=成功した証。大きくて、ゴージャスで、圧倒的な存在感のある、アメリカらしい高級車だってAutoProve Webに書いてあった。
なかなか乗れる車じゃない。しかも、運転させて貰えるなんて!ということで憧れの芸能人と合コンできちゃうような気分で、いそいそと、試乗に出かけました。
キャデラック・カフェに着くと、この新型ATSが早速入り口に展示中。第1印象は、「キャデラックだ!!」(そのまんまですが 笑)
キャデラックマークが付いた存在感溢れるフロントマスクに、縦長のヘッドライトやテールランプの特徴的なデザイン。ダイナミックでもあり、洗練された雰囲気もある。キャデラックって、ただ「目立つ!」というだけのアメリカ車じゃない。やはり、独特のオーラがある車なんだなぁって思いました。
この新型キャデラックATSは、エントリー・ラグジュアリー・スポーツセダンという位置付けで、キャデラックの中で最も小さいモデル(全長4680mm×全幅1805mm×全高1415mm)。キャデラックから、こんなサイズの車が出たんだ!ということに、まず驚きました。小さくなっても、ラグジュアリーさは変わらない。インテリアを彩る素材、アルミやカーボンは、全て本物の素材を使用してるんですって。シートのレザーの上質感は、私でも瞬時に分かったほど座り心地も抜群でした。(笑)そして、スマートフォンのように、指先ひとつで様々な機能を簡単に操れるCUE(キャデラック・ユーザー・エクスペリエンス)や、高品質なBOSE サラウンドサウンドシステムなどの装備も充実していて、デジタル音痴な私でも、その良さは分かりました。へへ。
試乗は、六本木にあるキャデラック・カフェをスタートして「1日自由に乗ってきていいですよ」という、これまた贅沢なものでした。時間はたっぷりあるので、都内を抜けて、高速道路へ。
ATSを運転してすぐに感じたのが、「私の思っていたアメリカ車とは全然違う」ということ。アメリカ車って、ふわふわした乗り心地が特徴だと思ってた。でもこの車は、「ふわふわ」どころか・・・、ものすごくしっかりしているからビックリ!
高速道路を走ると、直進性が良くて、すごくしっかりしているのを感じるんですよね。車線変更するときも車が「スッ」とスムーズに動いてくれるの。以前、BMWの3シリーズを運転させてもらった時、車線変更する際の機敏さ&スムーズさに、「なにこれっ? スゴすぎ!」と心底驚いたんですが・・・ATSのこのしっかり感は、ドイツ車に乗った時と近い感じがしました。「あれ? 私、いま、アメリカ車に試乗しているんですよね?」って確認したくなっちゃった。
後日、番組でモータージャーナリストの桂さんに教えてもらったんですが、ATSは、「デトロイトで生まれ、ニュルブルクリンクで鍛え上げられた車」。アメリカ生まれのドイツ育ち。ニュルブルクリンクでテストをして、ドイツ車のテイストを取り入れたって。でもキャデラックのこのテイストは、別モデルのCTS開発時から、「しっかり感」の方向に向かっていたそうです。
そして、日本に導入されるエンジンは、2.0Lの4気筒直噴ターボエンジン。「キャデラックで2リッター? これって、どうなの」なんて生意気にも思いましたが、パワー不足を感じさせないし、滑らかで、気持ち良かったなぁ。
個人的に、アメリカ車の好きなところって、アクセルを踏んだ瞬間から「ドン」という感じで力強さを発揮する、あのトルクの太さなんですが、排気量が小さくなっても、ATSはそのトルク感を残している!って感じで嬉しいなって思いました。
最後に、インポーターの方から聞いたこの言葉に、「なるほど!」と思いました。それは、『ATSは、きどらない、悪ぶらない。でも、ちゃんと主張しているクルマ』って言葉。私が試乗してATSに感じてたことをズバリ言い当ててくれました。
発売されて間もない高級車や、日本ではなかなか見ることができない高級外車が普通に走っている六本木のけやき坂周辺でも、キャデラックATSには特別なオーラがあった。そんな風に私は感じました。キャデラックの存在感や「らしい」部分は残しつつ、世界を向いている新世代のアメリカ車ってことなんですね。みなさんも是非、一度試乗してみてください。きっと驚きますよ。
【 クライスラー300C 】
今回、試乗させてもらったのは、300Cラグジュアリーです。フルサイズボディの、いかにもアメリカ車って感じの大きさで、もちろん室内も広々としていて、ゆったり感がありました。実際に乗るまではこんな大きなアメリカ車ってじゃじゃ馬みたいな感じかと思っていたけど、300Cはスムーズでラグジュアリーな走りでした。1500回転を超えたあたりから気持ちのいい走りを見せてくれるんですが、これは収録のときに「エンジンのパワーがそこからグッときてるからだろうね」って、桂さんに教えてもらいました。
変速のショックもなく、ゆったりと走れるクライスラー300C。あとうれしいのは右ハンドルなこと! 日本の道ではやっぱり右ハンドルの方が何かと便利なシーンが多いですよね。今まで「左ハンドルだから」って敬遠してた人も、このクライスラー300C、おすすめです。
300Cが持つアメリカ車らしい大きさと存在感は、人とは違うクルマが欲しいなっていう人にピッタリのクルマじゃないですかね。
(編集部注/ここまで書いたところで藤本センセー急用のため・笑、以下は車両概要にてお楽しみください)
<クライスラー300Cラグジュアリー車輌概要>
2011年、2代目となるクライスラー300がデビューし、現在日本でのラインアップは300リミテッドと300Cラグジュアリーの2グレードに、エボリューションモデルとも言える300SRT8がある。今回番組で紹介したのは300Cラグジュアリーで、2013年モデルという位置づけのクルマだ。
クライスラーは現在フィアットグループ傘下だが、以前はダイムラークライスラーとしてダイムラーグループにあった。そのため、クライスラーのフラッグシップであるフルサイズのセダン、クライスラー300にはメルセデス・ベンツのプラットフォームの改良したものが採用されている。先代メルセデス・ベンツEクラスのプラットフォームを流用したLXプラットフォームを使用し、ボディサイズは5070mm×1905mm×1495mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース3050mmとフルサイズになっている。
搭載されるエンジンは3.6LペンスターV6型で、アメリカンサウンドではなく軽快な音で高回転まで回るエンジンだ。最高出力の286ps/340Nmは驚くようなスペックではないが、低速回転域からトルクがあるので、フルサイズの300Cでも出だしは軽い。
組み合わされる8速ATはドイツZF社製で、パドルシフトが装備される。また、シフトバイワイヤーの「Eシフト」であり、先端のトランスミッションとなる。アメリカ車でZFのトランスミッションを搭載する唯一のモデルというわけだ。ちなみにベントレー、ジャガー、BMWなども同じユニットのトランスミッションを採用する。
エクステリアデザインは、ひと目でわかる存在感とタイムレスで現代に相応しく、シンプルでありながらエレガントで洗練されたものとしている。印象的なフロントグリルはサテンクローム仕上げを採用し、先代に引き続きインパクトのあるデザインとなっている。これはクライスラーブランドの哲学なのだろう。
乗り込んでの印象もまさに、ラグジュアリーで、シートも大きくゆったりしている。間違いなくアメリカンカーなのだが、インテリアの細部までの仕上げをみれば、欧州のクルマ造りが反映されていることが伺える。それは、プレミアムを演出する術を知るフィアットならではのセンスと技術ということだろう。
こうしたアメリカン・ラグジュアリーのフルサイズセダンでありながら、価格はリミテッドが398万円、300Cラグジュアリーが538万円と超お買い得価格が付けられている。この価格とクルマのポジションを考えると国産のクラウン、フーガあたりからの乗り換えを積極的に押してくるだろう。さらにアメリカ車としては異例の右ハンドル仕様の設定となっていることもプラスに働く。
ちなみに、このクライスラー300は、欧州ではフィアットの高級ブランド「ランチア・テーマ」の名前で販売され、右ハンドルがあることから英国でも積極的に販売されているということだ。