【読めるラジオ】第237回放送『オーストラリアの自動車事情』
第237回
この1回を聞けば、オーストラリアの自動車事情通に。日本車も人気です!
岩貞:今日はピーターさんに、オーストラリアの自動車事情についてお伺いしたいと思います。ピーターさんのご出身は、オーストラリアのどのあたりですか?
ピーター:西オーストラリアのパースなんですよ。
岩貞:いいところですよね~。
ピーター:いいところです。実はご存知かもしれないでしょうけど、30年くらい前に兼高かおるさんが、全世界を回っていろいろな街の中で、「一番住みたい街のトップ3」を挙げたんですね。
岩貞:テレビ番組で?
ピーター:パースがNo.1だったんですね! たぶん覚えていないでしょうけど、実はそうなんです。
岩貞:「兼高かおる世界の旅」という番組は私もよく見ていました!
ピーター:ほんと !? 一番孤立した街だとボクは思っていたんだけど…。素敵な街だけど、のんびりしています(笑)
岩貞:(笑)そうですか。日本では非常に親しみのある国ではあるんですけども、あまり良く知らないところもあるので、少しオーストラリアについてのご紹介をいただけますか?
ピーター:いいですよ。オーストラリアは非常に面積の広い国で、日本の20倍。(世界で)6番目に広い国なんです。オーストラリアは日本と違って、とても乾燥した国なんです。夏が非常に暑くて、パースでもシドニーでもメルボルンでも(最高気温が)44℃~45℃になる日もあるんです。でもカラッとしてるから、(それほど)暑く感じないんです。日陰に入ると割と涼しいです。だから(クルマは)窓を開けて、走る人が多いです。
岩貞:エアコン使わずに?
ピーター:そう。そしてオーストラリアは天然資源に非常に恵まれた国なので、羊毛とか小麦とか麦芽とか石炭、天然ガス、金、(その他)水産関係とかマグロとか。
岩貞:豊かな国ですね~。
ピーター:つまりオーストラリアは地下資源を掘って、中国とか日本に売るだけですごいお金になるから、みんな良い生活(をしていて)、良いクルマを買えているですよ。
岩貞:うらやましいです…。オーストラリアというと、どうしても私たちが気になってしまうのは、英語のオーストラリアなまり。
ピーター:ありますね~。A(エー)が強いですよね。つまりToday=トゥデイって言わないで、トゥダイとか、Goodnight=グッナイって言わないで、グダナイとかね。ちょっと鼻を通すような。そのほうが声が通るんですよね。ちょっとやってみてください。
岩貞:Goodnight !?
ピーター:鼻を通して!
岩貞:鼻声な感じ(笑)? Goodnight
ピーター:そうそう。今、すごく良かった。
岩貞:鼻声な感じでしゃべっていると、オーストラリアの方からは、ナイティブな感じに聞こえる?
ピーター:そうですね。その通り。実はね昔、79年に「マッドマックス」という(カーアクションの)映画があって、これはアメリカじゃなくてオーストラリアの映画なんですね。メル・ギブソンが出ていたんだけれども、ちょうど日本に来る2週間前にオーストラリアで見て、メル・ギブソンが映画の中で(もちろん)オーストラリアの訛りでしゃべっているです。その後、日本の映画館に行ったら、なんとメル・ギブソンがアメリカ英語をしゃべっているんです。そう…、アメリカ英語に吹き替えされていたんですよ! ビックリしました。当時はオーストラリアの英語はあまり認められていなかったんですね。それで、7年後のポール・ホーガン主演の「クロコダイル・ダンディー」では、彼は思いっきりオーストラリアなまりの英語をしゃべりました。それで、オーストラリアの英語は世界に広まったんです。
岩貞:彼のおかげというところもありますか?
ピーター:そう、その通りです。それで、ハリウッドのオーストラリアの俳優でラッセル・クロウとかヒュー・ジャックマンとか、ニコール・キッドマンが大活躍しています。
岩貞:してますね~。
ピーター:彼らは、オーストラリアのEnglishでもアメリカのEnglishで話せるんですね。
岩貞:「マッドマックス」はオーストラリアの映画ということは、撮影はオーストラリアでされたんですか・
ピーター:そう。それで、クルマも全部オーストラリアのフォード・ファルコンとか、ホールデンのクルマとかが、たくさん走っていました。マッドマックスが乗っていたのは、フォードですね。
岩貞:なんか道が(ずっと)真っ直ぐで走りやすいのか、真っ直ぐでつまらないのか、どっちなんですか?
ピーター:(笑)それは…、難しい質問ですね。面白いところもあるんだけど…、1時間以上も走っているとつまんないね。気を付けなければいけないのが、周りから動物が出てくるんです。
岩貞:野生の(動物)?
ピーター:野生の動物がたくさんいますからね。カンガルーとかワラビーとかダチョウとかね。水牛とかラクダとかね。
岩貞:(野生の)ラクダいるんですか!?
ピーター:いますよ!(笑) 100年以上前から中近東から持ってきたんですよ。運搬用に使っていただんだけれど、それが野生になってしまったんです。カンガルーと一緒に広がっていってしまったんですね。
岩貞:野生化しちゃったんですね…。そんな中で、ピーターさんオススメの「ここはクルマで行っておいた方がいい場所」というのはありますか?
ピーター:ありますね~。ビクトリア州のメルボルンの南にあるジーロングから始まるグレート・オーシャン・ロード。つまりメルボルンから西に向かって250kmくらいのすごく良い道があるんです。日本人には知られていると思うんですが、マグロとか鯨で有名な南氷洋に面した道です。速度制限は100/kmで、結構キビキビ走れて非常に面白いです。途中に絶壁もあれば、ワイナリーもあるし、ぜひ走ってもらいです!
岩貞:オーストラリアは日本と同じく、左側通行の右ハンドルで日本と同じですよね?
ピーター:そう。日本と同じで空港に着いたら、そのままレンタカーに乗って、(気軽に観光に)行けちゃいます。
岩貞:わかりました。注意点というのはありますか?
ピーター:いい質問ですね~。3つ挙げたいです。ひとつは、速度制限。シドニーやメルボルンでは100km/h。田舎道では110km/hなんですが、警察が(日本に比べて)厳しい。3km/hオーバーしただけですぐに捕まるんで、気を付けていただきたいです。移動オービスを使ったり、セスナ(飛行機)を使ったり、対向車のパトカーを使ったり、あらゆる手段を使います。高速道路なんかを走っていると、3車線もあるのに日本と違って、みんな同じスピードで走っているんですよ。
ピーター:もうひとつは田舎道はもちろん、アスファルトを幅5mくらいひいているんだけれども、両脇はグラベルになっていてとても滑りやすいんです。
岩貞:砂が浮いた状態ですね。
ピーター:そう。それになるべく(クルマを)乗せないように。例えば(対向車線から)大きなトラックとか動物が(万が一)出てきても、なるべく避けないように。また、グラベルに入ってもスピンした転倒したり(する恐れがあるんで)急ブレーキをかけないでほしいです。実は友達を失ったことがあるんですね…。ホントに危ないんで、それだけは頭に入れてもらいたいです。(それと3つ目は)先ほどの動物が出てくるのは朝方とか夕方(が特に多いんです)。田舎道を走っていると、カンガルーとかワラビーとかラクダとかダチョウとか夜行性の動物が多いんで、(朝夕は)なるべく走らないようにしてもらいたいです。
岩貞:そのあたりを注意しながら、楽しんでもらいたいと。
ピーター:そう。もちろん(注意さえしていれば)楽しめるよ。
岩貞:ところでピーターさん、今オーストラリアでは、どんなクルマが走っていて、人気があるんでしょうか?
ピーター:やっぱり人気なのは、現地生産のGMホールデンとフォード・オーストラリアが非常に人気あるんですね。例えばホールデンだったらコモドアが非常に有名だし、あとフォードだったらファルコン。日本で言うなら(トヨタの)カムリくらいの大きさですかね。セダンとワゴンがメインなんだけれども、つい最近、日本車で(それらを抜いて販売台数で)トップに立ったクルマがあります。なんでしょう? 当ててみてください。
岩貞:え~、いきなり !?
ピーター:ヒント。広島…。
岩貞:マツダですね!
ピーター:そう、マツダですね。その通り。海外の名前でMAZDA3というと、日本では?
岩貞:アクセラ…?
ピーター:その通り!
岩貞:え !? (トップは)アテンザじゃないんですね。
ピーター:アテンザじゃないんです。なぜかというとデミオより大きいし、アテンザより小さい。ちょうどサイズ的にも良いし、家族も乗せられるし、お母さんは子供たちを乗せてサッカーにも連れて行けるし、あと、買い物にも行けるし。価格的にもちょうど良いしね。月々4200台売れているんですね。日本より全然売れていますよね!
岩貞:すごく売れていますね。
ピーター:オーストラリアの人口は2000万人しかいないのに。
岩貞:日本は1億3000万人くらいですよね。
ピーター:だから東京と横浜を足したくらいの人口じゃないかな !? それで、MAZDA3、1車種だけが4000台以上売れているのは凄いですよね…。
岩貞:人気の秘密はなんですか?
ピーター:秘密はデザインと走り。マツダのクルマは宣伝に聞こえるかもしれないけど、FF(前輪駆動)にもかかわらず、アンダーステアになっておらず、割とニュートラルステアなんですね。そこがオーストラリア人は好きなんです。あとスタイリングやパッケージングも好きで、価格も安いし、信頼性も良いし、あとスポーティなイメージもありますよね。特にMX-5(ロードスター)やRX-8もそうなんだけど、マツダに乗りたい人は多いですね。
岩貞:日本車(全体)は割と人気な方なんですか?
ピーター:人気ですよ~! マツダの他だと、トヨタ。トヨタも現地生産しているんですね、カローラとかカムリとか。カローラも月々3000台くらい売れています。あとヤリス(ヴィッツ)は1600台(売れていいるんです)。あと非常に面白いのは、またトヨタ車で農家に人気のある車種があって3人のうち2人が乗っている四輪駆動。
岩貞:バカ売れじゃないですか!?
ピーター:何でしょう?
岩貞:ランドクルーザー?
ピーター:その通り! ランドクルーザーとハイラックス。この2台は非常に売れているんですよね。なぜかというとオーストラリアは広いので非常に人口密度が低い。しかも内陸に入れば入るほど低くなるんです。(そうすると)やっぱりクルマが(万が一)壊れると(誰も助けに来てくれず)命にかかわるから、信頼性の高いランドクルーザー(が人気なんです)。あと走りも良いですしね。(しかも)割とコストパフォーマンスも高いクルマなので、(余計に)人気があるんです。日産ではエクストレイルが人気がありますね。
岩貞:やはり四駆系なんですかね?
ピーター:やっぱり四駆系が多いですかね。あと三菱のランサーも1500台くらい売れているんですよね。スポーツドライビングの好きな人には、スバルインプレッサWRXとか、三菱のランサーエボリューションも売れています。ファンがとても多いクルマなんです。
岩貞:日本車は関税の影響で割高になったりとかはないんですか?
ピーター:約5万6000豪州ドル、日本円だと約450万円以上の高額のクルマには関税とか輸入税がかかってきて、高くなるんです。日本車の場合それよりも価格が下なんで、そんなに影響はないんです。なんでそういうシステムになるかというと、オーストラリアの自動車産業を守るためなんですね!
岩貞:どうしても必要な政策ですね。あと、スポーツドライビングを好きな方が多いということなんですけれど、モータースポーツ(の人気)は?
ピーター:(ファンは)多いですよ。一番人気なのは、V8スーパーカー(によるレース)で、F1より人気高いんです。つまりホールデンとフォードが作っているV8。そのクルマがバトルする「バサースト」というサーキットがあって、バサーストはシドニーから内陸に入って3時間くらいのところなんだけれど、簡単に言えばオーストラリアのニュルブルクリンクみたいなものです。
岩貞:1周が長い?
ピーター:長いと行っても6kmくらいんですが、(自然の地形を生かしたサーキットで)山もあって結構、危ないコーナーもあったりで、(しかも)両側が狭い割には、コンクリートウォールになっていて、(コースアウトしようもんなら)大変なことになりますね…。それで去年、実験でF1マシンが走ったんですね。ジェンソン・バトンが走ってトップタイムを出したんだけれど、すごく彼の評判も良かったし、時間があったらぜひ、バサーストの1000km耐久レースがあるんで、見に行ってほしいです。
岩貞:いつやるんですか?
ピーター:3月か4月頃かな。夏の終わりくらい。日本とは季節が逆ですね。でもV8の音が子供たちが大好きなんですね。その、「ブルブルブルッ」っていう音がね、オーストラリア人のDNAの中に入っているような気がして。ボクも1回観に行ったんですけど、子供たちはレースーカーが通る時に「ブルブルブルッ」、「ブルブルブルッ」っていう音を聞いて、すっごく興奮しているんですよ!
岩貞:そのDNAはピーターさんには入っているんですか?
ピーター:入っていますよ(笑)
岩貞:(笑)
岩貞:ピーターさん、もうエンディングなんですが…。
ピーター:楽しかったね~(笑)
岩貞:楽しかったですね(笑)。オーストラリアはホント広いのでクルマで移動すると、楽しいところにたくさん行けそうですね。
ピーター:楽しいですよ。今さっき話したグレート・オーシャン・ロードの他にも、日本で有名なケアンズの近くにもジャングルがあるので、そのジャングルを行く道もあったり、あとブリズベンからゴールドコーストに行く道もあれば、パースの南にバンベリーとか、もうちょっと南に行くとヤリングアップというところがあって、そこで波乗りもできるし、あと、その近くでワイナリー巡りもできます。そういうところをぜひ走ってほしいですね。
岩貞:ピーターさんはそのあたりの道は全部網羅しているんですか?
ピーター:もちろん行きましたよ~!
岩貞:さすがクルマ好き!
ピーター:大好き! ぜひ行ってみてください!!