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【読めるラジオ】第230回放送『サーブ 9-5』


第230回


こだわりの技術者スピリットが随所に息づく、最新の北欧ビッグサルーン


試乗記事はこちら

 

岩貞:さて、石井さん。今週ご紹介するのはサーブ9-5です。サーブって、私、すごく久しぶりに名前を聞いたような気がするんですが。

 

石井:そうですね、やっぱりイメージが強いのは、バブルの頃かな。大変注目されましたよね。

 

岩貞:とっても注目していました。

 

石井:あの頃は、景気が良かったので、輸入車もいっぱい売れていて、BMWの3シリーズが六本木カローラなんて言われてました。

 

岩貞:六本木のあの道を行くと…。

 

石井:石を投げればBMWかメルセデス・ベンツに当たるみたいなイメージだったんですね。

 

岩貞:すごい時代でしたよね。

 

石井:はい、だからこそ、もっと先進的な人たちは新たなブランドを求めていて、サーブなどが一番もてはやされました。

 

岩貞:今でも覚えているのは、それこそバブル真っ盛りの時に、ちょうどテレビの女性キャスターが注目されてきた頃なんですよね。その中のおひとりが、サーブに乗られていて、サーブって素敵なクルマだなってイメージがありますね。

 

石井:同じスウェーデンのブランドでもボルボはどちらかと言うとアウトドア志向だったり、ファミリー志向だったりするのに対して、サーブは仕事ができる人のクルマっていう感じがしましたよね。

 

岩貞:そうですね、ボルボって、その頃ものすごい四角いカタチのエステートだったじゃないですか。いかにも荷物積んで、どっかに行きますよっていう…。

 

石井:キャンプに行くのが似合うっていう感じでしたね。

 

岩貞:犬も一緒で。

 

石井:はい、対するサーブは、その頃の呼び名では“ヤッピー”なんていう名前があったの知ってます?

 

岩貞:すっごく懐かしいですね。

 

石井:アメリカのヤング・アーバン・ビープルかな。都市型生活者。若いエリートサラリーマンなどが一番最初にサーブに目をつけたらしいですね。

 

岩貞:で、日本にもその流れがきた?

 

石井:そういうことです。なんで目をつけたかって言うと、デザインが独特で他にはないものだという個性と、もうひとつ、こういう人たちがこだわるのは、ウンチクが語れるクルマがいいんですよね。

 

岩貞:そうですね。

 

石井:ファッションで乗るだけじゃなくて、なにかこだわりの技術とか、そういうものを求めるんですね。

 

岩貞:やっぱり自分がこのクルマを選んだっていう理由が欲しいですよね。

 

石井:そうですね。

 

岩貞:それがサーブはバッチリだった?

 

石井:そう いうことだったんですね。元々、軍用の航空機のメーカーだったんで、技術に対するこだわりは強いんですよね。ですから乗ってみるとわかるんですけども、ク ルマの運転席とかって、コクピットで呼ばれるじゃないですか?これは飛行機からきてるんですが、サーブのそれはですね、乗ってみるとホント、コクピットっ ぽいんですね。あと、技術的にはターボ。これのパイオニアでもあるんですよ。

 

岩貞:そうなんですか !?

 

石井:ターボって、元々飛行機で使われた技術で、クルマで市販車に初めて搭載されたのがサーブなんですね。

 

岩貞:知りませんでした…。

 

石井:だからサーブのターボってすごくいいんですよ。今でこそみんなターボも良くなって乗りやすくなったんですが、昔バブルの頃のターボって、ちょっとクセがあったじゃないですか?

 

岩貞:ドッカンターボって言われてましたよね。

 

石井:あれ !? アクセル踏んでも一瞬でない !? と思ったら急にガーッとパワーが出たりとか。実はその頃から、サーブのターボは非常に乗りやすかったんです。

 

岩貞:なるほどね。そんなカタチで、バブルの頃は非常に人気のあったサーブなんですけども、その後、会社のほうがいろいろあって、一時期スバルのインプレッサにサーブという名前を付けて販売していた時期もありますよね?

 

石井:そう ですね、89年からGMの傘下に入ってます。ですからその関係で、いろんなプラットフォームを使ったりとか、アライアンスをしたりとかしていたんで、スバ ルと共用していたこともありましたよね。ただ、ハードウエアになにを使おうと、自分たちのクルマ作りをするっていうのがサーブのいところだと思いますね。

 

岩貞:いろいろGMの参加に入ったりしている間も、ずっとスウェーデンの工場で研究や開発、生産を続けていた?

 

石井:そうです、さらに言うと、つい最近GMが一度破綻しましたよね?

 

岩貞:しましたね…。

 

石井:それで、GM傘下からも外れたんですよ。その時はちょっとバタバタしたんですけども、あたらしくスパイカーというところの投資を受けて、また復活しました。

 

岩貞:スパイカーというのはどこの国のメーカーですか?

 

石井:オランダのスーパーカーメーカーですね。去年、僕、スウェーデンに実は行って来たんですけども、やっぱり、相変わらずちょっと古めかしい感じの工場で、サーブのエンジニアたちが一生懸命、車作りをしてました。

 

岩貞:そうですか…。では、サーブのスピリットっていうのは、まだまだ、受け継がれているわけですね。

 

石井:そうですね。

 

岩貞:次のコーナーではサーブの高級モデル9-5について詳しくお送りします。

 

 

岩貞:では、早速サーブ9-5について詳しく教えてください。

 

石井:はい、大きさはですね、いわゆるEセグメントのセダンです。メルセデス・ベンツで言えばEクラス。アウディはA6になりますね。

 

岩貞:結構、大きいところなんですね。

 

石井:そうですね、サーブ自身としては、特にアウディA6をライバル視してるみたいですね。

 

岩貞:もうライバルがしっかりいる?

 

石井:はい、これはなんか昔かららしいです。

 

岩貞:そうなんですか。

石井:エンジンは直列4気筒の2リッターと、V型8気筒の2.8リッター。すべてターボ車です。

 

岩貞:サーブと言えばターボ?

 

石井:そうですね、駆動方式は、FFと4WDと両方あります。

 

岩貞:やっぱり4WDと聞くだけで、アウディのA6がライバルなんだなっていうのは伝わりますね。

 

石井:そうですね、もともと北欧のクルマなんで雪道を走るじゃないですか? それには4WDの性能が問われるわけですね。

 

岩貞:もうマストですよね。

 

石井:だからここにも技術的に自身を持っています。あと、今回新しい9-5を見てちょっとびっくりしたのがですね、デザインが非常に洗練されています。

 

岩貞:なるほど…。

 

 

石井:特にフロントのガラスがラウンドしてるんですよ。

 

岩貞:運転席が包み込まれるような?

 

石井:そん な感じですね。で、フロントウインドウの横にある柱、Aピラーなんて僕たち言ってますけど、ここを目立たないように黒く塗ってるんですね。で、そのままサ イドウインドウにつながっているんです。だから前と横のガラスが切れ目なくつながって、なんかヘルメットのバイサーみたいな感じになりますね。で、これっ て今すごくデザイントレンドになってるんですが、サーブがコンセプトカーで最初にやったと思うんですよね。

 

岩貞:やっぱりなんか、自分たちのこだわりみたいなものが感じられますよね。

 

石井:そうですね、デザインに対しても非常に強いこだわりを持っているということですね。

 

岩貞:石井さんは、実際に乗られたんですよね?

 

石井:はい、あの今までのサーブの良さがありながら、大きく進化しているところもありました。

 

岩貞:ということですので、早速音声レポートをお聴きください。

 

 

【音声レポート】

 

石井:ワイン ディング風のところに来ています。さっき街を走り始めた時は、ちょっと穏やかな雰囲気があったんですけれども。こうやってコーナーを走ってみると、かな り、スポーティになっていますね。あと、このエンジンもこうやって少し元気に走らせ始めると、豹変しますね。あのー、やっぱりターボの効き方が刺激的なん ですよね。ラグがかかって変な嫌な感じがあるわけではないんですけども、ちゃんとブーストが効いてくると、クルマが飛んでいく !? みたいな不思議な加速感ですね。やっぱ飛行機メーカーだからかな〜?飛んでくような感じです。

実際すごく速いですし、パフォーマンスもすごくいいんですけれど、他のBMWのスポーティさとかと全然違って、クールなんだけど、実は能力を隠し持ってる みたいな、そんなイメージです。このターボが効いた瞬間、エンジン音はあまりしないのだけれど、背中をフワッと押されるような加速感、これが気持ちいいで すね〜。

 

 

岩貞:サーブ9-5の音声レポートをお聴きいただきました。結構、加速感が気持ちいいという印象ですね?

 

石井:そう なんですよ、それもちょっと表現が難しいですけれども、例えばフェラーリとかBMWなんかもそうですが、官能的な音があって、ま、わかりやすく気持ちいい ですよね。サーブの場合はちょっと違って、エンジン自体はそんなに主張しないんですよ。ただ、こうアクセルを踏み込んでいくと、スーッてターボが効いてき て、気がつくとすごく速く走ってるみたいな…、なんかちょっと独特の味わいがあるんですね。

 

岩貞:そのあたりの味付け感にもこだわってきている?

 

石井:そうですね、ターボの使いづらさを消すことと、意外と刺激的だっていうところですね。この絶妙のバランスがありますね。

 

岩貞:今回はワインディングも走られたということなんですが、そのあたりはどうですか?

 

石井:ここがね、今までのサーブとは大きく違いました。ハンドリングがかなりスポーティになってるんですね。

 

岩貞:昔のバブルの頃のサーブは割とゆったりしていて、奥深いというイメージだったんですけれども、かなりスポーティになった?

 

石井:そうですね、どちらかというと、ロングドライブで疲れないとか、乗り心地が良いとか、そういう方が重視されているのかなというイメージがあるんですけれども、今回は、ワインディングでも楽しめますよ、というのをかなり盛り込んできているみたいです。

 

岩貞:なるほど…。今回乗ったのは4WDの方ですか?

 

石井:そうです、また4WDがすごくいいんですよ。安定するだけじゃなくて、アクセル踏み込んでいくことで、クルマが曲がっていくみたいな、かなりスポーティなセッティングになっていますね。

 

岩貞:石井さんは好きそうですね、そういう動きするクルマ?

 

石井:はい、大好きです(笑)

 

 

岩貞:他にも航空機メーカーならではの、いろいろな技術が盛り込まれているということなんですが…。

 

石井:そう ですね、サーブが好きな人だったら特にだと思うんですけども、今度の9-5もシートに座ってみると、やっぱりインテリアがラウンドしていて、囲まれ感があ ります。で、キーのシリンダーと言うんですけれども、エンジンかける時って普通は、ステアリングの奥あたりで、右手でかけますよね。サーブの場合はセン ターコンソールにキーシリンダーが付いてるんです。ですから右ハンドルだと左手でかける。あと、ナイトパネルっていうのがあるんですよ。これはボタンを押 すと、スピードメーター以外は全部照明が落ちます。だから夜間、周囲が暗い時に目がチカチカしないように考えられています。

 

岩貞:瞳孔の開き方をやはりコントロールするようになっている?

 

石井:そうなんですね。

 

岩貞:やはりこういう部分がサーブ好きの心をくすぐるんでしょうね。

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