第214回放送『BMW X3』
第214回
『 ひとまわり大きくなってもナチュラルなハンドリングが魅力 』
岩貞:さて、桂さん今週は?
桂:今週はBMW X3というSUVなんですけど7年ぶりにフルモデルチェンジをしまして、それに乗ってきました。
岩貞:日本でも発売になりましたもんね。初代と比べて、何がどう変わったのかを教えていただけますか?
桂:まあ、これは世界的な傾向なんですけど、安全対策ということでボディサイズがだんだん大きくなっているんですね。X3も同じように大きくなったんです。日本車でいうとホンダのCR-V、日産のエクストレイルをちょっとだけ大きくした感じなんですけど、このちょっとだけ多きくなったのをBMWに置き換えると、その兄貴分にあたるX5というのがあって、このX5というのがスポーツSUVというこのクラスを全世界に広めた立役者なんですね。で、そのクルマのサイズにほぼ近い大きさになりました。
岩貞:X3がそのサイズになると、あのサイズ感が好きだった人はどうなるんですか?
桂:さすが、このクラスのリーダー的なところがあるBMWなので、X1というひとつ下のクラスがちゃんとできています。
岩貞:逆にX3は大きくなったので、X5はどうなるんですか?
桂:もっと大きいです。
岩貞:(笑)追いかけっこな感じですか。
桂:上から見おろされている感じがあるくらい、大きさが違います。
岩貞:そうですか、どんどん大きくなりますね。
桂:ドイツ人の平均身長が伸びているというので、これはしょうがないでしょうね(笑) その方たちに合わせて安全対策を採っていくとこうなりますね。
岩貞:日本人もどんどん大きくならないといけないですね。(笑)
桂:日本人はまだ伸びシロがある。クルマ自体が大きいですから。
岩貞:BMWというと世界中の自動車メーカーがベンチマークにしていますよね?
桂:乗ってすぐにわかるBMWらしさというのがあるんですけども、たとえば、某T社とか、例えば、箱根で僕らが取材していると、自社のクルマ+BMWがいて、テスト社の中に必ずBMWが入っているんですよね。
岩貞:要するに、公道で、乗り心地のチェックをするときに、必ずつれてくるのがBMW。
桂:もちろん公道に連れ出すくらいだから、そのT社のクルマもかなり仕上がっているレベルのチェックなんですよね。ということは、テストコースでは、あんなこともこんなことも全部徹底的に比較していると思うんですよ。
岩貞:極限からブレーキ性能から何から何まで。なんで、BMWってそこまで?何でいいのですか?
桂:う~。これは乗ってドライバーがここで切ったらこう曲がってほしいな、とか、加速はこうしてほしいな、だからアクセルはこうだから、こういう加速感があるだろうなとか、ブレーキは今、こう効いてほしいな、とか。そのドライバーの感性にすべてピッタリ合うんだなぁ。これが。
岩貞:あっちゃうんだなこれが(笑)。素朴な質問していいですか?なんで、そういうクルマ造れないんですか?
桂:いや、こっちが聞きたいですよ。それぐらいクルマを造るのは大変なんだということですよ。きっと。
岩貞:奥が深い。ただ、寸法を合わせて造っているだけではこうは造ってこれない。
桂:やはり、基本中の基本がちゃんとできている。ドイツ車は、例えばBMWの操縦性のよさだとか、思ったところに動いてくれる、というのは、当然ドイツの他のメーカーもわかっていて、もう少しBMWに近づけてみようとか、そういう動きが、新しいメルセデスやアウディにちょっとBMWの方向に向いたなとか、逆にBMNWがもうちょっと楽に安定して走ってくれるメルセデスみたいな乗り味の方向に向けたいな、とかね。お互いに、そういう意味では切磋琢磨なんですけど、お互いのポジションを尊重しながらやりあっているところが面白かったりしますね。
岩貞:BMWの奥深さなんですが、いろんなメーカーがBMWを目指して造って、造っていってもやっぱり、乗り比べてみると、まだ、やるべきところがまだあるというのが見えてくるんですか?
桂:先ほどBMWのX5がこのカテゴリーを確立したといいましたけど、未だに、このX5とクーペにしたようなX6というのがあるんですけども、これに、スポーツカーといえばポルシェ。ポルシェが造ったSUVのカイエンを持ってきたとしても、個人的ですけど、ハンドリングに関してですが、BMWのほうがほんの一歩か半歩まだリードしていると思いますね。
岩貞:ポルシェのハンドリングってすばらしいものがあるじゃないですか。だけど、BMW?
桂:どっちか?といわれたらまだBMW。背の高いSUVでも気持ちよくまがるのはBMWのような気がしますね。
岩貞:そんなニューX3ですけども、サイズが大きくなった他にはどのあたりが変わっていますか?
桂:そうでうね。ボディの横に走るキャラクターラインというエッジの強調されたものがあるのと、BMWといえば鼻ですよね。キドニーグリルといいますけど。その鼻先の存在感というのか。またライトね、ライトを目にたとえますが、目の感じがスッキリして、精悍といえば精悍かな。
岩貞:あと、エンジンは?
桂:とりあえず、日本に上陸したのは3Lの自然吸気と3Lのターボチャージャー、で両者とも8速ATが付きます。
岩貞:燃費にききそうでうすね。
桂:そうですね、やはり燃費とCO2の削減が考えられたエンジンですね。
岩貞:それでは桂伸一さんに乗ってきてもらったX3の音声レポートをお聞きいただきましょう。
【音声レポート】
桂:それでは加速してみます。+++++++++非常にこの一速ずつのシフトアップタイミングが早いですよね。コレ実は8速オートマチックなんですね。このクルマは車重はかなりありますから、小刻みにシフトアップさせていって、ギヤをローギヤード化して加速しやすい状況を作っていますね。
BMWといえばもちろん、ハンドリングなんですけどもSAVと自ら言うくらいですからコーナリングはどうなのか?
まあ、これが凄く自然なんですね。自然というと、それはどういうことよ? ってるみちゃんから突っ込みが入りそうですけど、いやもう、ホントに自然なんですね。(笑)
え~、切ったら切ったなり、しかも背が高いのに不安のないロールで、切ったとおりに、ドライバーがこう曲がってほしいと思ったとおりに自然に曲がってくれる。これは特徴としてはないんですが、技術としてはじつは凄いことなんですね。ここを本当は凄いといいたいんですが、その凄さがあまり伝わらないかもしれません。
岩貞:あの桂さん、自然ってどういうこと?(笑)
桂:やはり、背の高いクルマなので、乗っている人がコーナリングしたときに、頭から傾きを感じたときに、すごく不安な・・・
岩貞:大きく左右に振られると不安に感じますけど。
桂:背の高いクルマってどうしてもそういう動きになってしまうんですけども、それがないんですね。それがないというはただ、サスペンションが硬くなってて、頭の動きが少なくなるようにしてあるのか? というとそうでもなくて、動いてはいるんですけど、感じさせない何かうまさがあるな。
岩貞:うまいんですね。
桂:うまいんですよ。サスペンションをもっと硬くすると、今度は乗り心地が悪くなってきたりして、ゴツゴツ感が出てきたりするんですけど、一切そういうことがない。自然にロールですとか前後のピッチングとかそのへんのドライバーに感じさせる動きが不安感なく自然に入ってくるところが、これがX3に限らずBMWらしさなんですけど。ね。
岩貞:自然というお話が出ましたけど、例えば、桂さんだと果敢に攻めていきますよね。そういう走りと一般ドライバーがゆっくりとドライブしたときと同じように自然な感じって味わえるものなんですか?
桂:たぶん、ぼくらのほうがステアリングの操作は、一般のかたのほうがよほど早く切っていますね。
岩貞:コーナーのときに?
桂:僕らのほうがタイヤがどのくらい使えるのか? というのを探りながら切っているので、じつはと飛ばしてて、シュッと切っているように思われがちなんですけど・・・・
岩貞:ジワジワと切る。
桂:そう、実はジワッと切っているんですね。うちのかみさんなんか見ているとレーンチェンジを、、僕なんかよりよっぽど早くシャッシャッと切るんですよ。
岩貞:勢いよくということですね。切り始めが早いということではなく、勢いよくパーンと切る。
桂:切り始めも早いし、舵角も大きいしということで、だからわれわれが乗っているときよりも一般の方が乗っているときのほうが、クルマの安定感、安心感というのは感じられると思いますね。
岩貞:X3の一番のよさってどのあたりですか。
桂:やっぱり、何度も言いますが、背が高いにも関わらず、セダンに乗っているような安心感、車高の低さ感みたいなのを、背の高いところからの見晴らしもよく、凄く運転もしやすいんですね。でも、安定感はセダンなみというその、両方をとっているあたりじゃないでしょうかね。
岩貞:またこれはほかのメーカーのベンチマークになりそうですか?
桂:間違いなくなるでしょう。