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第213回放送『ソウル・上海モーターショー / テスラ・ロードスター』


第213回


『アジアの新勢力、中国、韓国モーターショーレポート』

 

岩貞:石井さん海外へ行かれていたそうですが。

 

石井:4月は海外のモーターショーが2つあったんですね。ソウルと上海。

 

岩貞:両方ともアジアですね。

 

石井:近いんですけど、取材に行ったのでちょっと忙しかったです。

 

岩貞:ソウルと上海、アジアの2つですが違いは何ですか?

 

石井:国の大きさが随分と違いますけど、韓国の国内市場自体はそんなに大きくないです、が、自動車メーカーが凄く元気なんですよ。ヒュンダイ(現代)とかキア(KIA)、これはグループなんですが、昨年のヨーロッパでの売り上げがトヨタを抜きました。

 

岩貞:凄い!

 

石井:家電でも、こんな状況ありませんか。日本がもともと強かったのに、韓国が追い上げて日本を抜いているという状況がありますが、自動車でも似たようなことが起こりつつあるんです。

 

岩貞:トヨタ、抜かれちゃったんですか。わ~ショック。

 

石井:ヨー ロッパで、ですけどね。かなり価格が安くてデザインがいいというのが、今、韓国車が売れている理由です。その背景にはウオン安、それと貿易協定を国が積極 的に結びますので(TPP=環太平洋戦略的経済連携協定)関税でも有利であるとか。ただ、最近は質もよくなってきているという話を聞いていたので、だから ちょっと乗ってみたいなと思っていました。

 

岩貞:少し前までは韓国のクルマは、品質に問題があるんじゃないか?と言われていたところもあったと思いますけど。

 

石井:問題というか、耐久性とか壊れちゃうということでは問題はなかったです。

 

岩貞:質感?

 

石井:そうです。僕なんかみたいにクルマが好きな人間からすると、乗って「いいねぇ」みたいなのがあまりないんじゃないか? とは言われていました。

 

岩貞:ところが?

 

石井:ソウルモータショーを取材しながら、実は4台韓国のクルマに乗ることができたんですね。そのうちの1台はちょっとびっくりするくらい、よくできていたんです。

 

岩貞:ちなみに、それはどこの何? ってもう言っちゃっていいですか?

 

石井:大丈夫ですよ。ヒュンダイ・ジェネシスの2012年モデル。フルモデルチェンジではないのですが、エンジン、ミッション、サスペンションなどかなり大きくチェンジしていて、トランスミッションなんか8速ATですよ。

 

岩貞:それは凄いですね。

 

石井:エンジンも直噴で、かなりハイテクと言えばハイテクです。

 

岩貞:今の技術が・・・・

 

石井:そうです、ヨーロッパの標準的な技術と同じで、スペック的にはそういったところまで来ています。サスペンションは低速域での乗り心地のよさ、スムーズさ、これはちょっとビックリしましたね。

 

岩貞:韓国でヒュンダイは一番大きなメーカーですよね?

 

石井:そうです。今、ヒュンダイとキア、これがグループで、さらにGMコリア、ルノーサムスン、サンヨンっといったところが韓国の自動車メーカーです。

 

岩貞:それぞれがデザインもよくなってきて、乗り味も非常にあがってきている。

 

石井:4台乗ったうち1台は「これは凄い」って思いました。あとの3台のレベルはバラバラなんですけども、中にはちょっと古臭いなというのもありましたね。だから、最新のものはちょっと無視できないというか、欧米とか日本とかと同レベルになってきたというのが最新のモデル。

 

岩貞:でも可能性としては、どんどんよくなる可能性は凄く高いわけですよね。

 

石井:そうですね、ですから次のモデルチェンジ、これから出てくる新型車はかなりレベルがたかいんじゃないかな? という気がしますね。

 

岩貞:そしてもう一方の上海モーターショーですが、4月の中旬に行われていましたけど、こちらはいかがでしたか?

 

石井:あのね、取材が大変。

 

岩貞:どうして?

 

石井:会場が凄く広いんですよ。面積を調べてみたら、前回の東京モーターショーのおよそ10倍ありました。

 

岩貞:え! 10倍?東京モーターショーも相当広いですよね。

 

石井:以前に比べれば、だいぶ小さくなってきていますね。でも2日間歩きまわって、それでも全部見れたかな?とちょっと怪しいところがあります。

 

岩貞:それくらい出展台数が多いということですね。

 

石井:多いですね。当然なんですが中国は今、凄くクルマが売れていますよね。どれくらいだかご存知ですか?

 

岩貞:2年くらい前に日本の販売台数を抜いたというニュースがありましたよね。

 

石井:ありましたね。今、日本はですね年間の販売台数が500万台弱です。去年の中国は1800万台オーバー。

 

岩貞:ちょっとまってください。去年だかおととしだかに抜かれたのに、もう3倍以上なんですか?

 

石井:3倍なんです。

 

岩貞:凄い勢いですね。

 

 

石井:当然 世界1位で、世界2位がアメリカの1100万台か1200万台ですから、ブッチぎってます。さらに、2015年には3500万台くらいいくんじゃないか?  と言われていますから。当然、世界中の自動車メーカーがその市場をめがけてきますから、モーターショーも盛りあがるわけですよ。

 

岩貞:当然ですね。10倍の敷地を使って・・・

 

石井:ヨーロッパ、日本、韓国が行くのは当然なんですけど、他のモーターショーで見られないのが、中国の地元のメーカーなんですね。

 

岩貞:そうですね、日本では中国メーカーって出てないですからね。

 

石井:出ていないですね。

 

岩貞:中国の自動車メーカーって何社くらいあるんですか?

 

石井:あの、これは全部は把握できていないんですけど120社以上あるといわれています。

 

岩貞:ははははあ(笑) それは、いろんな人が僕も私も作ってみるぞ!と。

 

石井:まぁ、そういうこともあるかもしれないですね。そのうち、モーターショーに出展していたのは18社です。これは結構有力なところですね。

 

岩貞:見た感じどうでしたか?中国のメーカーは。

 

石井:僕は中国のモーターショーに5年前から取材にっているのですが、以前はですね、カタチが変だな? っていうか、縦と横の比がなんかおかしいな、っていうクルマがあったり、なんかどっかで見たことのあるデザインに似ているとか、そういうのも多かったんです。

 

岩貞:ええ、よく言われていました。

 

石井:それをみるのも楽しみのひとつだったりするんですけど、ただ、年々洗練されていって今年はもう、笑えるというか、おもしろいものが少なくなっていましたね。

 

岩貞:真剣モードになってきた。

 

石井:かなり進化してきています。日本の自動車メーカーのデザイナーも現地にいらしていたんですが、「ちょっとやばくなってきたね」みたいなことは言っていました。

 

岩貞:中国が本気になったら凄そうですね。

 

石井:まあ、進化のスピードが速いですから、これから5年後にはどうなっているか考えると末恐ろしいですね。

 

岩貞:日本のメーカーは大丈夫でしょうか。

 

石井:う~ ん、がんばってもらわないと困るなって思ってますが、ただ、日本はオールジャパン、クルマ1台全部日本で造れるんですよ。クルマって10万点くらいパーツ があるのですが、そのいろんなものが日本では全部作れます。この前の震災の影響で、海外のメーカーの生産ラインが止まったりしましたよね?

 

岩貞:ニュースありました。

 

石井:これはGMとかプジョーシトロエンとか、フォードとか海外のメーカーが日本の北関東、東北地方からパーツを買い付けていたということですね。

 

岩貞:なるほどね。日本の場合は自動車メーカーだけでなくそれを支えている小さな工場の技術力がある。

 

石井:サプ ライヤーさん、部品メーカーの技術力が非常に高いんですね。日本の自動車産業って裾野が恐ろしく広くて、質もいいんですよ。まあ、このへんの根っこの部分 では自身を持っていいと思います。ただ、韓国や中国のメーカーのように、勢いがあってトップダウンで物事がどんどん進んで行くというようなことがないです よね。日本型は日本型でもいいとは思うのですが、少し見習うところは見習って、ビジネスをうまくやっていくというのを促したいなと思いますね。

 

 

 

『 テスラロードスターはツーリングができるEV 』

 

岩貞:あのう以前、石井さんはね、電気自動車はスポーツカーとのマッチングが良いっておっしゃっていましたよね。

 

石井:実は 環境にいいとかいわれていますよね。でも、ちょっと表現するのが難しいんですけどもスポーツドライビングにも非常に向いているんですよね。いろんな電気自 動車のスポーツカーやフォーミュラーカーもあるんですよ。こいうのをサーキットで乗らせてもらって今、思っていることなんです。

 

岩貞:で、特に注目しているのが?

 

石井:テスラモーターズです。

 

岩貞:これはもう、1000万円を超える?

 

石井:そうでうね、セレブな感じもしますけれども、電気自動車特有の強い加速とかスムーズな加速をちゃんと味あわせてくれるのがテスラロードスターです。

 

岩貞:テスラってあまりなじみの多くない方もいると思うので、ちょっと説明していただきたいのですが。

 

石井:は い。アメリカのシリコンバレーですね。IT企業の聖地みたいなとこですが、ここで立ちあがった電気自動車のベンチャー企業ですね。はじめてクルマを発売し たのが2008年ですからまだ、3年くらいしかたっていないですね。やはり、シリコンバレーの企業だけあってアイディアが非常に面白いですよね。というの は、実はバッテリーがパソコンなどに使われている汎用のものを流用して、たくさんそれを積んで電気自動車を造ったということなんですね。

 

岩貞:じゃあ、クルマ専用というわけでなく、誰でも使えるようなものを使ったということですね。

 

石井:そうです。具体的には18650なんていわれている規格品です。

 

岩貞:これを使っている。

 

石井:そうです。

 

岩貞:このあたりがシリコンバレーでは、IT企業ならでは、という感じがしますね。

 

石井:ただそれで大丈夫なの?って思うじゃないですか?

 

岩貞:クルマはクルマ、ITはITですよね。

 

石井:ただ、たくさんのバッテリーを制御することが実はミソなんですよ。

 

岩貞:なるほどね。

 

石井:そうなると実はITが強いですよね。しかもトヨタやメルセデスベンツ、パナソニックなどがテスラに注目して、いろんなものを共同開発しているんですよ。

 

岩貞:それだけ信頼されているということは、目指しているものは相当注目されている?

 

石井:そうですね。なんであの小さい会社がうちらのデカイ会社よりも性能のいいものを造っちゃうんだろう? という感じじゃないですか。

 

岩貞:凄い気になります。で、そのテスラに石井さんに乗ってきてもらいました。

 

 

【音声レポート】

 

石井:テスラロードスターは0-100km/hが、正確には0-100マイルだから96km/hぐらいが3.7秒です。凄く速くパフォーマンスが高いので、ちょっとだけその片鱗を見たいと思いますので、高速道路に乗ってみます。

さ、アクセル全開! お~うお~!これはね、*ロータスで、もしスーパーチャージャーを持ってきたとしてもこ の加速はないなぁ。あのもしかすると、もっと高速域はエンジンのほうが速いかもしれませんが、0-100km/hぐらいの間、この加速はすさまじいです ね。う~ん、こりゃぁ楽しくなっちゃうな。スポーツカーはみんなEVにするべきと思っちゃうくらいおもしろいですよ。
*:(テスラロードスターはロータスのシャシーを採用している)

 

岩貞:石井さん、加速ものすごそうですね。

 

石井:なんか、うお~としか言えなくて、申し訳ない(笑)

 

岩貞:レポートになってない(笑)

 

石井:ただ、それくらい凄いですよ。

 

岩貞:スポーツカーというコンセプトですから、それなりの性能を目指しているのでは?

 

石井:そうですね。直列にしたり並列にしたり、バッテリーの積み方ってつなぎ方っていろいろあるんですけれど、比較的直列を多くしてパワーが出るようにしているとお思いますね。

 

岩貞:おもしろいというひと言ですか?

 

石井:電気自動車に乗ったことがないとか、ちょっと馬鹿にしているような人がいたら、横に乗せて全開にしてあげたいですね。

 

岩貞:でも、エンジン音がしないわけですよね。

 

石井:今、レポートでも聞こえたと思うんですが、ヒューンというエレキのイズというんですかね、電気的な音はするんですよ。それが嫌か?っていわれるとぜんぜん嫌じゃなくて、アクセルを少し多めに踏んだときは、その音が少し大きくなったりするので興奮しますよね。

 

岩貞:そうですか。たとえばフェラーリなんかはエンジン音にしびれるというのがあるんですが、それと同じような高揚感はモーターでも味わえるんですか?

 

石井:どうなんでしょう。質はぜんぜん違うかもしれませんが、エンジンであったり、モーターであったりがいっぱい仕事をするときには何かしらの音だったり、雰囲気というか、オーラみたいなのが出てくるんですよね。それは間違いなく感じられます。

 

岩貞:ちなみち航続距離ってどうですか?

 

石井:実は390kmもあるんですよ。

 

岩貞:すばらしい。

 

石井:長い ですよね。バッテリーをたくさん積んでるからなんですけども。この長い航続距離があるから本当に付き合いやすいスポーツカー、EVのスポーツカーといえる んです。テスラロードスターに乗ると、力強い加速とか楽しいことがいっぱいあるんですけど、なによりツーリングができるんですよ。軽井沢もいけるし、箱根 とかもいいですよね。緑の中を走るとき、EVで走ると気分いいじゃないですか。

 

岩貞:凄くきもちよさそう。

 

石井:ま、そういった新しい使い方をしてもらいたいです。

 

岩貞:石井さん、あっという間にエンディングになりましたけど、何か言い残したことはありませんか?

 

石井:上海モーターショーでVWのビートルの新型、それとメルセデスのAクラスコンセプトカーが出ていて、それがもの凄くかっこよくて・・・・・・

 

岩貞:わーものすごく乗りたい!

 

石井:ね、気になるでしょ。これもおもしろいのでぜひ注目していきたいと思います。

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