【マツダ】RX-8の生産を来年6月で終了。特別仕様車「SPIRIT R」を11月から発売
マツダは2011年10 月7日、現在のラインアップでは唯一ロータリーエンジンを搭載した4ドアスポーツカー、マツダ RX-8の生産を来年6月で終了すると発表した。同時にこのRX-8にとって最後の特別仕様車となる特別仕様車「SPIRIT R(スピリットアール)」を設定し、11月24日に発売することも明らかにした。
ベース車はType RS(6MT)とType E(6AT)。専用シートや専用塗装アルミホイールなどを設定し、 RX-7の最後の限定車でも採用されたスピリット Rの名称にふさわしい装備としている。ベース車ではメーカーオプションのエアバッグシステム(カーテン&フロントサイド)も標準装備。メーカー希望小売価格はMT車が325.0万円(消費税込み、以下同)、AT車が312.0万円。計画販売台数は1000台となっている。なお、スピリット R発売後のRX-8のラインアップは、このスピリット RとType G(6AT)のみとされる。
マツダのロータリーエンジン搭載車は来年6月をもって存在しなくなり、コスモスポーツに初めて搭載された10A型ロータリーエンジン以来、45年間続いたロータリーエンジンの歴史に一度幕を下ろすことになる(2002年4月の RX-7最後のスピリット R発売から、2003年4月のRX-8発売までの空白期間を除く)。ただし、マツダは今後もロータリーエンジンの研究・開発は継続するとしている。
ロータリーエンジンは振動特性やコンパクトさ、車両搭載性などで優れた面を持つが、低速トルクが薄く、レシプロエンジンのようなバルブ可変システムや高圧縮比化を採用しにくいというデメリットを抱えている。また本質的に冷却損失が大きく、燃費や排ガスの面での資質で不利という現実をブレークスルーできなかったということになる。さらにマツダは、現在展開しているスカイアクティブ技術に開発リソースを集中しており、ロータリーエンジンの大規模な開発は厳しいのも実情で、現時点での生産終了の決断は妥当なところだろう。
しかしその一方で、今後も研究・開発を継続する最大の理由は、ロータリーエンジンは水素燃料との適合性が高いからだ。吸気部と燃焼室が離れているために、水素の吸気時着火が起きにくい、水素ガス直噴+EGRを採用しやすい、水素とガソリンのバイフュエル・エンジンとして成立しやすい…などというレシプロエンジンに比べて有利な特徴を複数持っている。そのため水素ロータリーエンジンが開発され、RX-8やプレマシーなどにハイドロジェンRE(バイフュエル)として搭載され、自治体やノルウェーで実証実験を行っている。
またこの水素REを利用してハイドロジェンREハイブリッドの試作も行われている。水素とガソリンのバイフュエルシステムをそのまま利用しながらシリーズパラレル式ハイブリッドシステムとし、水素燃料での走行では燃料電池車と同等の排ガスゼロ走行が可能になるという特徴がある。このように水素燃料とのマッチングに優れるロータリーエンジンのポテンシャルを生かした研究・開発は、今後も継続して行われるものと思われる。