第210回放送『ハイブリッド事情とVWトゥワレグハイブリッド』
第210回
『トゥワレグハイブリッドはコースティングモード(滑走)を装備』
岩貞:桂さん、東日本大震災ではガソリン不足がおきて、みなさん大変な思いをされていますよね。
桂:はい。われわれ日本ジャーナリスト協会AJAJ会員は、復興のお手伝いをさせてもらっているのですが、もちろん、向こうに行くまでは燃費のいいクルマで行くのはもちろんなんですけども、携行缶、20L入る携行缶を満タンにして1本積んで行こうと。
岩貞:向こうでは給油ができないから、向こうでご迷惑かけないように。
桂:そうです。向こうのガソリンは向こうの方に使っていただくということで、こちらから行く人は、もって行くことにしています。
岩貞:ワンタンク、満タンにして行って帰ってこられるようなクルマだと、なおやりやすい。
桂:なおやりやすいですが、何があるかわからないので、向こうで動くことを考えると、やはり20Lプラスあると断然余裕ですよね。
岩貞:そういった意味では、本当に燃費のいいクルマに注目が集まっていますが、その中ではハイブリッド。
桂:ハイブリッドは燃費的には非常にいいですね。最近乗ったクルマではフォルクスワーゲンのトゥワレグですが、ガソリンとモーターと組み合わせて333psもある凄いクルマでして、アクセルを踏み込むと、4WDですけど、ドライブシャフトをねじ切るんじゃなかという勢いで、ドカンと飛び出すんですよ。(笑) これは、今までの日本のハイブリッドにはなかったなというところで、非常に興味がわきました。
岩貞:日本では、トゥワレグは燃費が販売のネックだったので、燃費もよくなっているんだけど、それと同時に、そのパワーの部分も非常にある。
桂:パワーもありますし、8速ATと組み合わされているんですけど、時速50km/hまでであればモーターだけで走ることができる。それで、ある程度の速度がついたところでアクセル戻しますね、するとエンジンがストンと止まって、クルマは走っているんですよ。クラッチも切って滑走状態でスッーと流れていくんですね。コースティングモードというのですが、その滑走する状態が新しいんです。
岩貞:エンジンが止まってて・・・・・・
桂:エンジンが止まっててというか、走って加速してある程度の速度がついたところでエンジンを止めて、クラッチも切っちゃうので、まるで、普通のMT車のクラッチペダルを踏んだ状態。でも、そこでエンジンも止まっているんですよ。その状態でサーっと流れていくんです。
岩貞:以前言われていたのは、ハイブリッドは山坂とかストップ&ゴーのところでは、燃費が凄く良くなるんだけども、高速走行の時にはあまりメリットがないと言われてましたが、そのやり方だったらいいんですか?
桂:明らかにこれはいいよな。って思えるのは、エンジン止まっちゃってますから、まるでボールベアリングのようにサーっと流れていくんですよ。
岩貞:抵抗なく。
桂:抵抗感なく。
岩貞:ロスは全くナシ。
桂:ロスあるんですけどね(笑)本当は。あるんですが、そう感じることもなく、サーッと走るのでこれは本当に燃費いいよなって感じます。
岩貞:ちなみにフーガとトゥワレグどっちがいいですか?
桂:どっちもいいです。フーガはフーガのやり方で、要するに、トヨタがハイブリッドでいろいろなパテントを持っているので、こう、パテントに触れないように掻き分けつついいところを使う。
岩貞:そういう技術的な話は聞きますね。
桂:もう、各メーカーいかにトヨタのパテントをよけてギリギリのところでやれるかって凄く大変だと思います。
岩貞:わかりました。トゥワレグの詳しい話はこの後に。
桂:そうですね。このハイブリッドというシステム自体、非常にコストがかかるものですから、そのコストのかかった分をどうするか? というと欧州は上級の高いモデルから投入して、そこで価格を吸収しようとしています。一方で日本は大衆層のクルマに展開して、燃費、環境問題をより多く走っているクルマからキレイにしていこうという考えだと思います。
岩貞:欧州の場合、燃費規制が非常に厳しいので、企業別にクリアしなければいけないハードルがある。そのあたりも関係しているのですか?
桂:そうですね、あとまぁ、ヨーロッパはディーゼルが主流として走っているので、それとの兼ね合いもあると思いますね。下のほうのクラスはまだ、ディーゼルでやっていけるという。といいながら、ハイブリッドもどんどん増えて変わってきていますけどね。
岩貞:はい、わかりました。それでは桂さんが気になるクルマ、トゥワレグハイブリッドに乗ったということですので、その音声レポートをお聞きください。
【音声レポート】
桂:加速音~。
はい、今、全開加速をしてみましたが、1速は40km/hですね。40km/hでシフトアップ、2速は80km/hでアップします。なので、相当このクルマの車重を考えて1速、2速はローギヤードに設定していますね。そのせいもあって凄く軽々と動いてくれます。いや~これはいいなぁ。これいいんじゃな~い。
あ~、ちょっと、ブレーキを踏み込んだときの、足の力に対して減速感がエンジンがかっているとき、モーターのときだけとかで、ちょっと変わりますね減速感が。今、『あ~』って言ったのは、思っている以上に止まらないで伸びてしまったんですね。もちろん、踏力を増せばいいんですけども、先ほどのモーター領域だけのときと、ぜんぜん止まり方が違います。あの~僕らはよく、ペダル操作のリニアリティとか言いますけど、その踏んだことに対しての実際の動き方ですよね。これがあまり自然とは言えないないですね。うわっ! なんだエンジンがまわったり、止まったりの状態でぜんぜんその減速フィーリングが違います。
高速の流れに乗った状態で、今、90km/hですが、アクセルを戻しますね。回転計の針が落ちているのわかりますか?いや~、これはエンジン止まっちゃってるわけですからこりゃぁ燃費に効きますね。
岩貞:桂さん、最後のほうでおっしゃっていたのが滑空状態。
桂:そう、コースティング状態。
岩貞:燃費に効きそうですね。
桂:回転計落ちているのわかりますか?って誰に向かって言っているんだというと、スタッフに向かって言っていたんですけど、本当にストンっと止まった状態になるので、あきらかに動力が何もかかっていないので、ただ転がっているだけなので、燃費には効きますね。
岩貞:あともうひとつ気になったのはブレーキフィール。
桂:ハイ。まず、これ凄くいいよね! って言っているのはクルマ自体の質感のよさとか高級感を言っていて、それに対して、ブレーキは、例えば交差点の手前で止まろうとして、停止線で止まるためにブレーキを踏みますよね。だいたいこれくらいで止まるよなっていうペダルの踏み方ってあるじゃないですか。で、この踏み方だったら停止線で止まる。と思ってブレーキを踏んでるんですが、ところが、モーターだけの領域とエンジンがかかっている領域とで、その踏み込んだ量で止まるであろうところがチョット伸びてしまうから、少しだけペダルの力を強めると急にカクッと止まったりするわけですよ。実は、そういうところでプリウスは14年も前に苦労してたんですよ。
岩貞:エンジンだけなのか、モーターと一緒なのかドライバーは選べないですから。
桂:その時の状況によりますからね。
岩貞:プリウスも相当苦労していたんですか
桂:プリウスは逆にカックンブレーキといって、スーッと止まろうとしているのに、カツッと強く踏んだような状態でクルマが止まるということを散々言われたんですね。プリウスは止まりすぎる方向だったからいいんですけれども、ちょっとトゥワレグハイブリッドで気になったのは、ブレーキペダルを弱めたような状態に、止まる寸前になってしまうので、伸びちゃうんですね。停止線から。もちろん踏めばいいんですよ。
岩貞:ポルシェもBMWもハイブリッドに進出してきて、いろんなパターンのハイブリッドがありますが、では今、どんなハイブリッドがおすすめとかいうのはあるんですか?
桂:え~、日本でいうとねホンダ方式、常にエンジンがまわっている状態、ボクがプリウスを選んだのは・・・・・・
岩貞:アッそうだ、桂さんプリウスオーナーですよね。しかも初代から。
桂:はい。初代からず~っと乗り続けているわけではないですが、1、2、3と新型が出るごとに買い換えていましたけれども、なんで、選んでいるのかと言いますと、新し物好き。やはりモーターで走る領域があり、その感じがやっぱ新しいんですよ。いままでのガソリンエンジンとは違う感覚があるので、やっぱり、ハイブリッドイコールモーターとエンジン。モーターで走っている部分があるというのが、最初にプリウスが出たこともありますけど、そのモーター領域というのが凄く新鮮だったんですね。
岩貞:ただ、1代目2代目3代目と進化度はそうとうしていると。
桂:先ほど言いました操作に対するアクセルですとか、ハンドルもそうですけど、操作したことに対する自然なクルマ側の応答感、自然な動きですね。そこがどんどん、より、人間の感覚に近くなってきていますね。
岩貞:ダテに14年前に市場に出してから、ずっと展開しているわけではない。
桂:ま、もちろんみんながいろんなこと言いましたけどね。カックンブレーキだ、なんだと。でも確実に進化しているところが、ハイブリッド、日本の技術、ホンダもありますけど、日本がリードしているという所以ですよね。