【読めるラジオ】第247回放送『年忘れ〜記憶に残る1台』
第247回
コメンテーター全員集合で、記憶に残るクルマのオンパレード。
まさに話は尽きません…
岩貞:今日のザ・モーターウィークリーは、今年最後の放送なので、津々見友彦さん、桂伸一さん、石井昌道さんとレギュラーコメンテーターにお集まりいただき、「年忘れ~記憶に残る1台」と題して、今年どんなクルマが印象に残ったかを全員で語っていきたいと思います。みなさんよろしくお願いします。
全員:よろしくお願いします。
岩貞:みなさんは2011年を振り返っていかがですか?
津々見:今年は大変な時代になったという気がします。(やはり)「3.11」ですね。私は3回ほど震災のボランティアで水を配りに行ったんですけれども、この時にクルマの有り難さというのをシミジミ感じました。とにかく電車など公共交通機関は使えないので、クルマで行ったんですけれど、(メーカーから拝借した)三菱のキャンターに水を2トンとか4トンとか積んで行きました。(キャンター以外でもやはり広報車を借りた時の)セレナとかプレマシーも機動性があって(とても役立ちました)。ガレキ(の影響)で狭い道を通らなければならなかったので、このサイズはとっても良かったですね。(そういったこともあって、)今年はしょっぱなからクルマの有り難さをしみじみと感じました。
岩貞:桂さんはいかがですか?
桂:震災で色んなことがありましたけど、エコカーはたくさん出てきましたね。けれども、それだけじゃない大排気量、大パワーというのが海外からどんどん来ているので、その勢いが凄いなと思いました。
石井:ボクは海外のモーターショーで、今年はちょっと変わったところに行ってきました。カタールと韓国のソウルモーターショーですね。地域によってクルマが全然違うんですね。カタールに行くと、ランドクルーザーが王様です。
津々見&桂:お~、やっぱりね。
石井:みんなエンブレムとか金色にしていたり、ホイールも金色にしていたりとか、キンピカ仕様でカッコ良く見えて面白かったですね。
津々見:キンピカ !? なるほど~~。
岩貞:今日は4人揃ってにぎにぎしくやっていきたいと思います。
岩貞:さて早速ですが、今年1年どんなクルマが印象に残っているのかをうかがっていきたいと思います。誰からいきますか?
津々見:あ !? じゃ、ボクが。ボクはやっぱりEVのリーフ! やっぱり専用ボディを持っていて、これは凄いなと思いました。
桂:ボクも1カ月半くらい借りて乗っていました。夏場でしたけれども、クルマ自体はモーターで走るっていうことによるストレスのなさとかあったんですけれども、やっぱりインフラですよね。そこがもっと充実しないと。
津々見:もう少し(充実して)欲しいですよね。でもね走ると凄く静かだし、質感が良くて、ボクはすっかり気に入っちゃいましたね。
桂:いや、ボクも気に入りました。
石井:サーキットでボクと桂さん競走したじゃないですか。あれも面白かったですねぇ。プリウスとかi-MiEVとか。
津々見:このふたりは、なんでも競走しちゃうんだよね~(笑)。
桂:しかもあれ、お客さん乗せていました !?
石井:全開で行って、みんな喜んでいましたよ(笑)。
津々見:バッテリーが床下にあるんで、凄く安定性が良いんですよね。走行性能や操縦性も良いですね。それとは別で、もうひとつ興味を持ったのが、デミオのスカイアクティブなんですね。ヨーロッパは最近ダウンサイジングで来ているじゃないですか? それに対して真っ向勝負でエンジンを改良したというのはさすがだなと(感心しました)。だからある意味マツダの技術力というか、エンジンをまだ改良していくぞという精神!
桂:ハイブリッドだけじゃないぞと…。
津々見:そうそう! そこがとっても嬉しかったですね。
石井:ダウンサイジングだとターボとか色々付くので、ちょっと高くなるんですけれども、(デミオは)あまり余計なものを付けないで、シンプルに燃費も良くっていうのが、なんだか日本らしいですよね。
津々見:石井ちゃん鋭いねぇ…、さすが! それかもう1台。やっぱり基本に戻ってエンジンとかミッションとかボディを見直したイース。これも…
桂:い~っす!
石井:い~っすね!!
津々見:いやぁ…(先に)やられました…(笑)。
石井:ミライースはさらにデミオよりシンプルですよね。直噴でもないし、でもポート噴射なんですけれども、直噴に近いような効果を狙っていたりとか、意外と高圧縮だったりとか、日本の技術も最近ヨーロッパに負けているんじゃないかと言われていますけれど、結構底力を見せ始めたという気がします。
津々見:さすがに石井ちゃん、良いこと言うね~!
石井:年末ですから…。
桂:まとまるね、これ。バランス良いね(笑)。
岩貞:たとえば、デミオのエンジンとかすごく燃費が良いじゃないですか? それにさらにハイブリッドを組み合わせていくと、もっと良くなると思うんですけど、マツダってハイブリッドはやっているんですか?
石井:やってはいますよ。ハイブリッドもエンジンを進化させないと、この先負けてしまうということが見えましたよね。
岩貞:あと、もうひとつ思ったのが、電気自動車とガソリンエンジンのクルマってレースの勝ち方というか、走行の仕方って違うんですか?
桂:やっぱり立ち上がり…ゼロからの動き出しは電気の方が速いんですよ。エンジンだと、後から速度が付いてきますよね。
石井:カートで乗り比べると、よくわかりますよね。エンジンのカートと電気のカートがあるんですけれども、エンジンだとドライバーはあらかじめアクセルを多めに踏んでいるんですよ。だけど電気でそれをやると、トルクが出すぎて乗りづらいです。レスポンスの違いが、よくわかりますよね。
岩貞:微妙にコツがいるんですね。
桂:ともかく電気はドンッとパワーが来るので、実際そこで太いシャフトをねじ切っちゃうことがあるんですよ。
津々見:ちょっと待った! ところでね、ルミちゃんはDJをやっていますけどもね、なにをかくそう実はモータージャーナリスト!
桂:いやいや、全然隠していませんから…(笑)
津々見:ルミちゃん的には今年の1台はどうなんですか?
岩貞:実は津々見さんと真逆で、大きいクルマ! 燃費悪いんですけど(フォードの)エクスプローラー。
津々見:あれ、カッコ良いんだよね~。
岩貞:あとFJクルーザー。
津々見:あれもね、ボクも好き。
桂:女子に人気ありますよね。FJクルーザーって。
岩貞:なんか大きいクルマを乗りこなしている感というのがたまらなくて、ずーっとコンパクトだエコだと言ってきたんですけれども、あれを乗った瞬間に「どうでもいいや!」と思っちゃって。
石井:肉食女子ですね。
岩貞:はい。
桂:男らしくていいね(笑)。
津々見:やっぱり強さというか、女性から見て、どういうところが魅力あるの?
岩貞:やっぱり大きな機械を自分の思うように動かしているというのと、あと、どこにでも行けるという感覚が、道はどこに行ってもつながっているという自由さ(を連想させるん)ですかね。
桂:カッコいい!
石井:本質的なクルマの良さですよね。
津々見:そうだね。
石井:津々見さんも震災でクルマの有り難みがわかったとおっしゃっていましたけど、ボクもSUVを被災地で乗ったら、凄くいいんですよね。扱いやすいし、道の悪いところもどんどん行けるし、頼もしいですよね。
津々見:安心感があるんだよね~。
岩貞:続いて、桂さんの(記憶に残る)1台は?
桂:津々見さんと同じで、1台と言われると困るんですよね~。やっぱりハイパワーなクルマがたくさんヨーロッパから入ってきていて、AMGのCクラスクーペとか、アストンマーチンとか、色々なV8クラスのクルマもアリなんですけれども…。(そういえば)韓国に行ったんですよ。韓国の市内を走っているクルマたちを見ていて、カッコいいんだなと…。
石井:そうなんですよね~。
桂:で、どうよ日本は?
岩貞:K-POPにしても、日本は押されていますよね。
桂:大丈夫なのかな !?
石井:特に(韓国車は)デザインが良いんですよね。ボクもソウルモーターショーに行った時に韓国車に4台乗ったんですよ。急速に成長していました。クルマの中身の方もね…。1世代前のクルマはちょっと古い日本車みたいな雰囲気なんですよね。だけど現行モデルに乗ったら、「お !? ちょっとレクサスと同じレベルか !? 」と思わせるくらいな感じがしましたね。エアサスだったんですけれども、乗り心地も完璧で。
岩貞:日本の技術者が韓国に流れているということですか?
石井:今、言ったエアサスはドイツのコンチネンタルというサプライヤーがやっているんで、そこはドイツの技術だと思います。
津々見:日本からもOBたちが韓国に行きましたから(その技術も一部入っているかも)わからないですね。底力を上げたと思いますね。でも石井ちゃん、それにしてもデザインが良いですよね?
石井:そうなんですよね。
津々見:ホント、たまんないですよね。
桂:カツラが言ったんですけどね。
岩貞&津々見&石井:(笑)
津々見:それに私は最近、韓国のテレビドラマにすっかりはまっちゃって…(笑)。
全員:(爆笑)
桂:クルマの話なんですけど…(笑)。
津々見:スイマセン、間違えました(笑)。
石井:とにかく韓国勢が日本車にとって、脅威だと言われていますけれども、ホントに無視できないというか、逆に背中を追いかけるようなカタチになってくるかもしれないですね。
桂:(韓国メーカーには)デザイナーもドイツから有名な人が行ったりしているので、国際的に日本ももっと色々な(国の)血を入れてもらいたいですよね。
岩貞:デザインと言ってもデザイナーがいくらキレイなラインを引いても、最終決定権を持つ上層部(が良さをわかっていないと・・・)。
石井:それはありますね。韓国の自動車メーカーの良いところは、トップダウンで一気にやるところらしいんですよ。
桂:いや、だから(日本は)トップが問題だってことだよね。
石井:日本はもちょっと合議制というか、みんなの色々な意見が集約して、(平均して)80点くらいのクルマが出てくるみたいな。
桂:ハンコ押す解きに(すでに)良さが薄まっちゃうんだよね。
石井:特にデザインはそうですよね。
津々見:だからトップには、デザインセンスの良い人がいなきゃいけないということになりますよね~。
岩貞:(ところで)石井さんの1台はなんでしょう?
石井:今、韓国車の話をしましたけれども、ほかに今年はインド車に結構乗ったんですよ。
岩貞:インドに行ったんですか !?
石井:インドじゃなくて日本で乗ったんですけどね。で、タタとかあるじゃないですか? 有名な…。
桂:それって、ボール紙でできているんだっけ?
石井:いや、それはちょっと誤解です(苦笑)。インドではタタ自体が製鉄会社もやっていますからね。
桂:ジャガーはタタグループですよね。
石井:そうですね。インド車でナノっていう20万円から30万円くらいのクルマに乗ったんですよね。
津々見:そうなの !?
石井:妙に楽しかったんですよね。
岩貞:20万、30万円ということは、MT?
石井:そうですね。しかも4速です。
岩貞:いわゆる手漕ぎ、手巻き、重ステ?
石井:そんな感じです。でも、なんで楽しいのかなって思ったんですけど、ちょうど免許取った25年前なんですけど、レンタカーでスターレットを借りたんですよ。クルマ買えないんで…。それもデラックスとかベーシックなグレードで。たぶん4速MTだったと思うんですけど、すっごく楽しくて、24時間借りて、一度も停まらないで走っていたんですよね。(その時の感覚を思い出しました。)
桂:(とはいえ)スターレットの出来ではないんでしょ?
石井:そうですね。
桂:津々見さんが若かりし頃のクルマの話だと思うよ。
津々見:いや、でもね、石井ちゃんの話はわかる気がするなぁ。走らせるのにドライバーの能力をすべて使わなければならないでしょ。たぶん楽しかったと思うんですよね。
石井:凄く走らせてる実感が強いというか、最近のクルマってモデルチェンジすると大きくなって豪華になって、値段が少し上がって、というのが普通じゃないですか? 進化していくことは良いんですけど、どこかで行き過ぎているところをもう1回見直さなければいけないんじゃないか…というところが出てきましたよね。
桂:上手く走らせるためにはコツがいるっていうやつだよね?
石井:それもありますよね。
桂:自分が操作するとスムーズに走れるけど、他人が乗るとギクシャクしちゃうとかね。
石井:あと、今年は安全技術でぶつからないクルマとかも凄く話題になっていいことなんですけれども、自動運転方向に向かっちゃうのも寂しいなって思うんですよ。
津々見:ボクはひとつの方向として、自動運転というのもアリだと思うんですよ。それで、もうひとつの方向として、石井ちゃんが絶賛したドライバーの能力がフルに要求されるクルマ。この二極化がこれからのクルマ(社会)のひとつの歩み方かなという気がするんですよね。
桂:津々見さんは、ボルボのシステムを使ってどこかまで行ったんですよね?
津々見:そうなんですよ! 都内から箱根ターンパイクを登って、都内に帰ってくるまで、全部フルオート!
全員:(笑)
津々見:ブレーキは一度も踏まずに帰ってこられました。
桂:ハンドルは切るんでしょ?
津々見:ハンドルは切りますね。ハンドルとスイッチ操作だけですね。
桂:行けちゃうんですね~。
津々見:行けちゃうんですよ。しかも凄く安全なんですよ。
石井:凄い時代になりましたよね。結構、プリミティブな方向を見つめ直すというのは、今年は色々なことで象徴していると思うんですよ。原点回帰ってやつですかね。東京モーターショーも24年ぶりに東京に戻ってきましたし。スポーツカーなんか、まさに速さとかにあまり価値を感じてこなくなってきて、やはりどれだけ運転して楽しいかってことじゃないですか。だから、ハイテクはあまり要らないかなという気がしますね。
津々見:なるほど。
石井:インド車の方が乗って楽しいというのは悔しいじゃないですか。いかに低いスピードで楽しませるかというのが、腕の見せどころかなと思っています。
津々見:なるほど~。
桂:て言うと?AE86とか…(おっと)AEじゃないや、それはボクが昔乗りました(笑)。
石井:トヨタのハチロク(笑)とスバルのBRZ。この辺は絶対的な速さじゃなくて、シンプルに作って、運転の楽しさを追求すると(メーカーが)言っていますから、ちょっと期待したいんですけどね。どうですか、おふたりは?
津々見:石井ちゃん、いいこと言うね!
石井:原点回帰して、昔の楽しさを取り戻したいですね。
津々見&桂:賛成!
岩貞:今年最後の放送もいよいよエンディングになりました。みなさん、来年はどんな年にしたいですか?
津々見:やっぱりもっともっと、クルマを楽しく走らせたいなと思いますね。サーキットもコボちゃん(=桂さん)やボンちゃん(=石井さん)に負けないくらい(元気に)走りたいなと思っています。
岩貞:桂さんは?
桂:クルマは来年出てきてみてのお楽しみなんですけど、ニュルブルクリンクのレースはライフワークにしたいなと思っているんです。(もちろん)これも相手があることなんでわからないですけど…。
岩貞:石井さんは?
石井:個人的にはクルマを買い換えたいです。ずっとインサイトとプリウスとハイブリッドカーに乗ってきたので、大体これはわかったので、今度は好きなクルマに乗りたいですね。
岩貞:楽しい1年になれば良いですね。それではみなさんで…
全員:良いお年を!!