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【帝人/GM】カーボン製品量産で共同開発



↑ 左が帝人の亀井範雄専務執行役員、右がGMのスティーブ・ガースキー副会長

 

2011年12月9日、ゼネラルモーターズと帝人は、熱可塑性CFRP(Carbon Fiber Reinforced thermoPlastic/炭素繊維)の製品開発を共同で行うことに合意し、契約を締結したと発表した。

 

↑ CFRP製品の一例。炭素繊維とも言う

 

これまでの熱硬化性樹脂(※1)を使用したCFRPではなく、熱可塑性樹脂(※2)を使用したCFRPによるコンポジット製品を量産する技術を活用 していくものだ。これにより、GMはクルマの軽量化の決定版と言えるCFRP技術を確保したことになる。GMのスティーブ・ガースキー副会長は「帝人との パートナーシップにより、これまで一部のラグジュアリーカーに限定的に使われていたCFRPが、自動車業界における新たな技術革新になると考えています。 この技術は、自動車業界の地図を塗り替える可能性と、GMの長年の技術革新を実証することになるでしょう」と表明している。

 

(※1=熱を加えても硬化したままの樹脂)

(※2=熱を加えると軟化する樹脂)

 

また帝人の亀井範雄専務取締役は、「当社が開発した、車体構造骨格を画期的に軽量化することができる熱可塑性CFRPによるコンポジット製品の量産 技術が、今後のGMの主力車種の開発において重要な役割を果たせるものと考えています。GMとの先進的な取り組みを通じて、環境にやさしいグリーンコンポ ジットの採用拡大を先導していきたいと考えています」と語っている。

 

帝人グループは、今年3月に炭素繊維・複合材料事業を担当するグループ会社の東邦テナックスと 連携し、熱可塑性CFRPを1分以内の工程時間で成形する画期的な量産技術を世界に先駆けて確立していた。そして、この技術を採用し炭素繊維からコンポ ジット製品の成形加工までを一貫生産するパイロットプラントを、20億円以上投資をして松山事業所(愛媛県)内に設置することを11月に発表した。このパ イロットプラントは2012年夏ごろに稼動する見込みだ。

 

これまでのCFRP製品をRTM製造する場合には熱硬化性樹脂を使用したCFRP製造技術が主流であったが、その成形に要する時間や生産性の面で量産車向けの部品として採用するにはハードルが高かった。しかし、熱硬化性樹脂より加工性に優れた熱可塑性樹脂を使用するRTM製法により、材料の注入から成形までの工程時間を1分以内とすることで、量産自動車へのCFRP部品の採用の現実性が高まったと言える。

 

この製法と、多種類のCFRP部品を接着接合する技術を合わせることで、クルマのプラットフォームやキャビンなどモノコックを構成する大きな部品を 量産用に製造することが容易になる。また、クルマ用として求められるリサイクル性も、従来の熱硬化性樹脂を使用したCFRPよりも熱可塑性樹脂を使用した CFRPの方が優れている点も評価されている。

 

共同開発の決定を受け、帝人は複合材料の用途開発機能とマーケティング機能を集約した「Teijin Composites Application Center」(TCAC=帝人複合材料用途開発センター)を、2012年初頭にアメリカ北東部に設置するとしている。

 

これまで、カーボン繊維関連技術ではダイムラーベンツと東レが業務提携し、BMWとSGLグループは三菱レイヨンからカーボン繊維の供給を受けるな ど、日欧の連携が進んでいる。今回のGMと帝人のCFRPの共同開発決定により、自動車メーカーの軽量化技術はカーボンへという流れが決定的になったと言 える。

 

 

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