【読めるラジオ】第243回放送『ルノー ウインド』
第243回
ルーフ部分が180度以上も回転して収納される個性派オープンカー、
ルノー ウインドの魅力とは?
岩貞:さて桂さん、今週はルノー ウインドという、とても個性的なフランス車をご紹介いただけるんですよね。
桂:これは2ドアのオープンカーなんですけども、オープンカーというと日本だとマツダのロードスターだとか、トヨタのMR-Sだとか、あとは軽自動車にも屋根が開くクルマがたくさんあったんですが、最近は数がめっきり少なくなっているのが寂しい限りですね。このルノー ウインドはオープンなんですが、2人乗りのドライバーの後ろにガラスがありまして、そこまで(屋根を)開けることができるオープンカーなんですね。
岩貞:ドライバーの後ろの屋根の部分が開く?
桂:フロントウインドウからドライバーの後ろまでの、天井部分。そこがパカッと開くんです。これは昔のポルシェ911タルガと同じで、(このクルマも)屋根の部分がパカッと取れたんですね。
岩貞:タルガトップ?
桂:そうですね、タルガトップ…オープンというよりもタルガトップと言った方が正しいんです。これは、屋根が電動で反転しながら開くんですが、なにが良いかというと風の巻き込みが少ないんですね。
岩貞:後ろのピラー部分が立っている感じで、後ろが(風が巻き込んでこないように)カバーの役割を果たしているんですね。それは髪型を気にする女性にはありがたいです。
桂:そうですね、あとホコリとかも巻き込みにくいので(室内が汚れず)、それがすごく良いんですけどね。
岩貞:排気量が1.6Lの5ナンバーサイズ。コンパクトですね。
桂:そうなんです。だから日本車に少なくなってきているし、輸入車も衝突安全だとか側突(側面衝突)の関係で、どんどん横幅は広くなっているので…。それが5ナンバーサイズに収まっているのは、コンパクトで良いことだなと思うんですけどね。
岩貞:そうですね。収録前に調べたら、シトロエンのC3とかDS4とか、あのあたりも全部3ナンバーになってしまっている。
桂:そうですね。幅が広がっていますから。
岩貞:もうひとつ特徴的なのが、左ハンドルでマニュアルのみという設定です。
桂:ここがねぇ…。数を売りたいのなら少し逆行してますけどね。
岩貞:数、売る気はないんですか?
桂:いや、それは知りませんが、でも売るからにはやっぱり売りたいでしょう。ただし個人的には「左か右か?」と言われると、ボクの場合はそのクルマが生まれた国の(道路事情に合わせた)仕様が一番良いと思うんですよ。それでいくとルノーは(フランス車ということで)左(ハンドル)の国なので、左の方がすべてがしっくりくるようになっていると思います。
岩貞:桂さんのルノーをはじめとして、フランス車に対する印象というのはどんな感じなんですか?
桂:ルノーとプジョー・シトロエンとで違うんですが、ルノーは大体、下(のクラスのクルマから)から上(のクラスのクルマ)まで、同じような味付けの操縦性を持っているんですね。比較的サスペンションは固めなんですが、ボディのロールやピッチングなど前後左右の動きが、抑えられているんですけども、決してガチガチな固さは感じなくて、柔らかを感じつつもハイスピードでコーナリングしても不安はないんです。それが、ルノーは下から上まで統一感があるんですね。
岩貞:コンパクトカーからラグジュアリーのセダンまで?
桂:そうですね。
岩貞:日本車は?
桂:日本車は…。それでいうと、プジョー・シトロエンは猫足と言われる、しなやかな柔らかさがあるし、プジョーがどちらかというとルノーに近いですかね。それで、日本車はもうそれぞれメーカーによってバラバラなので、一概に言えないです。
岩貞:逆にドイツ車は?
桂:ドイツ車は固いでしょ。固いの意味が違うんですけどね。なんといってもアウトバーンがありますから、前にも言いましたが通勤するのに200km/h出す人たちなので、超高速安定性ということで、もっとボディもサスペンションも引き締まってますよね。
岩貞:今回このルノー ウインドなんですが、デザインのキーポイントとも言える、クーペカブリオレスタイルなんですが、ルーフ部分が12秒で開く?
桂:そうですね。
岩貞:速いですね。
桂:シンプルなんですよ。結局、屋根の部分を収納するために、トランク部分が開いて、屋根が180度以上反転して入って、それでトランク側が閉まって終わり。
岩貞:トランクが通常の開け方よりも逆開きということですね。
桂:屋根を入れる時だけ逆開きになって、通常のトランクを使う時は、もちろん後ろ側から開けるんですね。これで偉いのが、トランクの容量が普通オープンのクルマって屋根を開け時と閉めた時でトランクの容量が変わってしまうんですが、これは変わらず270Lという容量が開いてても閉めてても、どちらでも使えるんですね。
岩貞:それはすごく使いやすいですね。
桂:そうですね。
岩貞:桂さん、オープンカーの試乗って楽しいですよね。
桂:そうですね。天気が良くて、あとキレイな風が当たる場合は楽しいですね。
岩貞:渋滞は?
桂:渋滞にひっかかって前を走っているクルマからホコリだの煤煙だの(が当たる時は)ちょっと…。
岩貞:あと、雨とか…。
桂:雨(の時)はもちろん閉めますけどね(笑)。
岩貞:今回どうだったんですか?
桂:天気は良かったです。
岩貞:それでは、天気にも恵まれた音声レポートをお聴きください。
【音声レポート】
桂:特にスポーツエンジンという感じではないんですが、引っ張れば7000rpmきっちり回って、なかなか良いスポーツサウンドに変わっていきますね。ちょっとそそるものがあるかなぁ。それでこのクルマはスポーティなんですけど、すごく誰にでも扱いやすいように、ステアリングを切り始めた時の動きが、ジワッと始まるんですね。これがヨーロッパ車の良いところで、切った瞬間にクイックに向きを変えるのではなくて、直進状態のニュートラル付近はむしろ甘い感じにしておいて、これが高速の直進安定性にすごく良いんです。このクラッチ、ブレーキ、アクセルペダルの配列なんかも、わかっていますね。ヒール&トゥをやる時もアクセルをあおりやすく、配列されています。このあたりはルノースポールの作り方なんでしょうね
岩貞:桂伸一さんによるルノー ウインドの音声レポートをお聴きいただきました。(ルノー ウインドは)スポーティなんですけど、誰にでも扱いやすいクルマなんだな…という印象の試乗レポートだったんですが?
桂:その通りです。
岩貞:そうですか。
桂:ただ、誰にでもと言っても、左ハンドル、マニュアルというのが大前提なので、それを乗れる方にとっては…という意味ですよね。
岩貞:ペダルの配置がわかってるな、とおっしゃっていましたけど?
桂:これはクラッチ、ブレーキ、アクセルの左右の間隔ですとか、あとは高さですね。ブレーキを踏みながらアクセルをあおるヒール&トゥを行って回転合わせをした時の合わせやすさ(踏みやすさ)。そういうことをわかって作っているかどうかは、こういう配列を見ると一発で感じられますね。
岩貞:なるほどね。そういう意味では、たとえば左ハンドルだけで入ってきましたが、右ハンドルになるとどうなるんでしょう?
桂:ですから、そこが、生産国=クルマが生まれた国のハンドル位置が重要でして、日本の場合はそこは、左右均等に作るんですけど、国によっては左だったものを右に持っていくと、エンジンルームの中で移動させなければいけないものがあったりして、少しハンドルが内側を向き過ぎたりとか、ペダルが右側寄り過ぎたり、左へ寄り過ぎたりってことが、多々ありますよね。それがどうかな? という感じですね。
岩貞:それを見越して、(ルノーは)これだけコンパクトでスペースもあまりないから、左のままがいいかなって思ったんですか?
桂:そうですね。たぶん売れる台数も決まってるでしょうから、あえて右は作らず、左のままでいいんじゃないかと判断したんじゃないでしょうか?
岩貞:あと気になるのは今回、オープンなんですが、どうしても剛性感。スポーティなクルマって、しっかり剛性が確保されているかどうかが気になるんですが。
桂:それが先ほど言いましたタルガという形状ですね。ドライバーの後ろの部分が左右つながっている状態ということで、ネジレに対してはすごく強いんですよね。だから開いた状態でも閉めた状態でも、操縦性が変化するということはほぼ感じなかったですね。
岩貞:(クルマ)がよれたりとか、ガタガタするということもなかったですか?
桂:なかったですねぇ。
岩貞:フランス車というと昔のガタガタするというイメージを引きずっている人も多くて、「オープンだと雨漏りとかするんじゃないの?」っていまだに言われたりするんですが?
桂:その心配は現代のクルマはないと思いますね。
岩貞:左ハンドルのマニュアルと言うことで、乗る方、乗られる方、かなり制限があるのではと思うんですが、桂さんとしてはどういう方にオススメしたいですか?
桂:そりゃもちろんこのクルマを気に入った方が乗るのが良いんですが、女性に乗ってもらっても格好良いかなと思うですが、(特に)最近の男らしい女性にマニュアルで左ハンドルで乗るのも格好良いんじゃないかと思いますね。
岩貞:そうですね。若いお嬢さんに乗っていただいたら格好良いなと思うですけど。
桂:若いお嬢さん !?
岩貞:おばさん発言でごめんなさい(笑)。
桂:そ、そうですね。はい、そう思います(笑)。
岩貞:ありがとうございます。