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第224回放送『三菱 i-MiEV』


第224回


価格を大幅値下げで、実質188万円になった i-MiEV

 

岩貞:今週は、大幅に改良された三菱アイミーブについてお送りします。

 

石井:何と言ってもですね、価格は実質188万円からです。

 

岩貞:安くなりましたね

 

石井:いよいよ電気自動車が現実的になって、いろんな人が買いやすくなったなぁ、と感じます。

 

岩貞:これは補助金を含めて?

 

石井:含めてです。

 

岩貞:今日は、スペシャルゲストとして三菱自動車のEVビジネス本部の和田憲一郎さんにお越しいただきました。よろしくおねがいします。

 

和田:よろしくお願いします。

 

三菱自動車工業 和田 憲一郎 さん

 

岩貞:和田さんは、アイミーブとはどれくらい長く関わってきたのですか?

 

和田: そうですね、ちょうど6年前になりますね。もともと私は内装設計をやっていたのですが、上司から、アイミーブの開発を言われまして、6年前から関わっています。その間、プロジェクトマネージャーをやりまして、09年に発売してからは、アイミーブの開発だけでなく、インフラ整備も含めた開発に関わるようになりました。それで本社にきましてEVビジネスに所属しています。

 

岩貞:石井さん、今、インフラという話がありましたけど、これからはココが肝になりますよね?

 

石井:そうですね。ボクは、随分前からアイミーブは乗らせてもらっているんですね。09年発売ですけど、それ以前に、何度か和田さんに会いに行って、ね。

 

和田:開発センターに起こしいただいて、乗っていただきました。

 

石井: その頃からクルマの性能はすでにOKなんですよ。問題ないんです。ただ、普及していくにはインフラの問題が大きいぞ! というのはもう、何年も 前から分 かっていたことなんです。で、今、和田さんのようにクルマのことが全部わかっている方がインフラに関わるというのは心強いですね。

 

岩貞:アイミーブは軽自動車のアイiを改造して、と言っていいですか?

 

和田:ほとんど見た目は一緒ですけど内容的には全く違った乗り物になっていますね。

 

岩貞:では、アイミーブについて和田さんからご紹介いただけますか?

 

和田: 電気自動車は世の中にそれほど多くないので、わかりにくいかと思いますが、基本的には電池とモーターとをパワートレインにして走ります。それで充電をどう するのか?というのをよく聞かれるんですけど、これにはふたつの方法がありまして、ご家庭で充電できる普通充電と、短時間に充電できる急速充電とふたつの 方法があります。

 

石井:それがさっき話しに出たインフラになるわけです。急速充電器が増えるともっと使いやすくなるということですよね。

 

和田:政府も2020年までに普通充電器を200万基、急速充電器では5000基設置したいと目標をかかげていますので、非常に大きなインフラになりますね。

 

岩貞:どんどん、乗れる環境が整ってきている。

 

 

石井:それで、今回大幅に改良されたということですが、具体的にはどのあたりが改良されたのですか?

 

和田: 今まで、アイミーブは1車種1グレードだけだったんですね。ところが、お客様から、価格も高いものですから距離が短くてもいいから安いグレードってできないものか?というご提案がありました。一方では、現在のモデルより、もうちょっと航続距離を伸ばして欲しいという要望もございました。このふたつを満足さ せようとすると、電池容量を少し減らしたものを新たにグレード追加することで対応しました。これがエントリーグレードのMというモデルになります。電池容 量でいえば10.5KWで、だいたい走れる距離でいいますとJC08モードで120km走れるモデルです。一方従来のモデルの上級グレードをGと呼んでお りますけど、こちらは従来160km走行だったものを180kmまで伸ばしたモデルです。この2種類を設定させていただきました。

 

石井:その20km航続距離があがったのはどうしてなんですか?

 

和田:いろいろなところを改良はしていますが、一番大きなことはブレーキ回生をしていることなんです。

 

石井:回生というのは、減速するとモーターが発電機になってバッテリーを充電するということですね。

 

和田:それにより改良を付け加えたということです。

 

岩貞:三菱では2010年の4月から個人への販売を始めていて、一般の方の声をフィードバックしていくということができたということですか?

 

和田:はい。なかなか、厳しいご意見をいただきました(笑)

 

石井:ところで和田さん、アイミーブは東北の被災地で活躍したという話題が記憶に新しいんですけども、具体的にはどんな活動をされていたんですか?

 

和田:なんとかして我々も貢献したいという思いから、111台の車両を贈らせていただきました。

 

岩貞:全国の試乗車をかき集めたということを聞きましたが?

 

和田:そうなんです。その中の、89台が電気自動車で、それを東北3県を中心に配車しています。

 

石井:どんな声があったんでしょうか?

 

和田:電気自動車って使えないんじゃないか? という声もあったんですが、電気は社会インフラの一部ですので、非常に早く普及しました。

 

岩貞:燃料不足が非常に問題になっていたので・・・・・・

 

和田:そういうこともありまして、深夜電力で充電しておけば、いろいろなところで活躍できるということで、県や市、さらには、多くの医師や看護師が入っていたので、その人たちの活動の手段として、いろんなかたに活用していただけたということです。

 

岩貞:被災地というか、災害場所では強いですね。電気自動車は。

 

和田:私どもも予想外で、非常に使い勝手が良いと。こういった場所でも使えるんだ、ということで声を頂いております。

 

石井:逆に現場から要望とかあったりするんですか?

 

和田: 電気自動車は非常に多くの電気を蓄えているので、電気を取り出せませんか? という要望が非常に強いんですね。現在でもACパワーサプライを使えば、例え ば、携帯電話だとかノートパソコン、扇風機など100Wぐらいまではできるんです。でも、もっと大きい大容量の電気ポットや炊飯器などになりますと 900Wから1000Wになるので、そこまでできませんか? という要望が強いんですね。

 

岩貞:赤ちゃんにミルクを作りたいという声が凄くありましたよね?

 

和田:これはいけないということで、急遽開発を始めたんです。先般7月6日には原理試作品ができましたので、発表させていただいたという経緯があります。

 

岩貞:発表会会場で社長がアイミーブからの電気で作ったご飯を召し上がっていましたよね?

 

石井:お茶漬けサラサラと(笑)

 

和田:なんかそこがクローズアップされまして、新車発表会の会場だったんですけど(笑)

 

岩貞:でもインパクトのあるいい演出だと思いますけど。

 

石井:そうですね。で、その給電システムはいつごろ手に入るのですか?

 

和田:今、開発は必死になってやっておりまして、今年度中、来年3月までにはなんとかして皆様へお届けできるようにしたいと思っています。

 

石井:あと、新車でそのシステムが使えるだけでなく、今あるアイミーブでも使えると聞いたのですが。

 

和田:今は外付けタイプというのを開発しておりますので、後から今のアイミーブに接続できるというタイプですね。そうすれば、今までに販売したアイミーブにも使えるのでは、ということを検討しているところです。

 

岩貞:まだ、東北の被災地に残っているアイミーブにも使えることになるんですね?

 

和田:はい。使っていただければいいなぁ、と思っております。

 

石井:移動できる非常に高性能な電池、という見方もできますからね、電気自動車は。

 

岩貞:電池を積んで走る?

 

石井:それで、電気を出せれば、夢が広がるわけですよね。

 

和田:はい。でも電気自動車なので、まず楽しく走ることができないと。それプラス今までは環境に貢献する、というのが電気自動車のキチンとしたメッセージでしたけど、災害時にもお役に立てるという新たな役割というのも電気自動車に加わってきたんじゃないかなと思っています。

 

岩貞:電気の使い方というのが最近問われていますが、このアイミーブの蓄電能力を考えると、いろんなことができそうですね。

 

和田:そうですね。今、マックスで16kw/hありますので、だいたい平均的なご家庭で使う電気の量が8kw/hから10kw/hなんですね。ということはアイミーブで1日から1日半はフルに持つので、これをうまいこと使えば、いろんなことができると考えています。

 

岩貞:今、ピーク時の電力量が問題になっていますけど?

 

石井:節電しなくてはいけないということよりも、ピークを抑えるということが一番大事なことですね。そのためには、電気自動車の蓄電能力が活かせるんじゃないかと。というように注目浴びていますね。

 

和田: 太陽光発電であったり、いろんな電力を一旦電気自動車に蓄えておいて、それからハウスに戻すとか、そういった有効活用ができるんじゃないか? 今、すぐに はできないんですけども、いわゆるVwhicle to House(ビー・トゥ・エッチ)と言われている技術を当社でも集中して開発しております。

 

岩貞:そういうことができるようになると、島とかですごく活用できそうですね?

 

和田:特に台風シーズンになると地震とは別に、電気が途絶えてしまうというところもありますので、非常時の電源供給ができれば別な意味でも有効になるんじゃないか、と思っています。

 

岩貞:長崎のほうでなさっているようですが。

 

和田:そうですね、五島列島では115台、いやもっと増えているかな。大変ご好評を頂いています。

 

岩貞:これからも、アイミーブの可能性が広がりそうですね。

 

和田:ハイ。新たな役割がどんどんできているということで、われわれもその役目に合わせていろいろな技術開発をしていきたいと思います。

 

岩貞:はい。わかりました。石井さんいかがでしたか?

 

石井:やっぱり電気自動車って夢が広がりますよね。あと新しいアイミーブにはちょっと乗ってみたいですね。エントリーモデルというだけでなく、車両重量が軽かったり、他にいいことがありそうなので、僕も早く試乗してみたいです。

 

岩貞:私は電化製品が使えるようになったアイミーブに乗ってキャンプに行ってみたいです。

 

石井:いいですね。

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